「Supergrass」(1999) / Supergrass

レビュー

初夏の爽やかな風の如くの最高傑作

Supergrassの3rdアルバム。デビュー当時の転びそうな勢いは前作以上に抑えられ、それによる大胆なイメージチェンジが話題となった作品。前作と比べると変化の大きさに驚くが、思わず手拍子したくなるようなノリの良さは失われていない。荒い部分を極端に抑えつつストリングスを強調させたことによって渋みが増し、精神的に大人になったことを公に発表したような作品。ギャズのヴォーカルについても、いつも以上に声色がよく変化する印象も受ける。彼らの職人的な音作りが顕著に現れており、音楽性の高さも知らしめることができた作品と言える。

本作はファンにとても人気のある#1「Moving」が収録されている。曲調がガラリと変わるのが印象的な名曲だ。他にも深化を感じさせる作りこまれた楽曲が揃っており、捨て曲は無いと言ってもいい。成熟を感じさせる内容とはいえ、前述通り若さを忘れないノリの良さがしっかり残されている。これがとても良かった。特に#9「Pumping on Your Stereo」に至っては体をくねらせて踊りたくなるほどである。と言いつつも、後半は単音のメロディーが染みるまさに渋い楽曲が揃っており、アルバム全体の完成度は高いといえるだろう。

アルバムの全体的な雰囲気としては、爽やかな風を感じるとても涼しげな作品という感じである。そのため、夏場に窓を全開にしたリビングでカーテンがはためく姿がとても良く似合う。楽曲のポップセンスも相変わらず素晴らしい。この作品が発表された当時はブリッドポップの勢いが既に沈静化していたものの、個人的に本作はスーパーグラスのポップセンスとサウンドクオリティが合致した最高傑作、と言えるアルバムである。

トラックリスト

  1. Moving
  2. Your Love
  3. What Went Wrong (In Your Head)
  4. Beautiful People
  5. Shotover Hill
  6. Eon
  1. Mary
  2. Jesus Came from Outta Space
  3. Pumping on Your Stereo
  4. Born Again
  5. Far Away
  6. Mama & Papa

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