「The Visitors from Deepspace」(1994) / Coaltar of the Deepers

レビュー

COTDの1stアルバム。インディーズで数枚のEPを発表した後に、満を持して発表されたメジャーデビュー作。ファンの間で現在も尚人気の高い楽曲が揃っており、とても濃厚で粒ぞろいな作品となっている。ひとたびライブで演奏されればファンのボルテージはぐんと上がること請け合いであろう、熱のこもった8曲が収録されたこのアルバム。バンドの代表作に挙げても問題ないだろう。

ほぼすべての曲が攻撃的で疾走感に溢れており、このバンドの初期衝動による暴走が凝縮されているかのようである。メタルとシューゲイザーがミックスされたような重層なギターサウンドを主軸に、テクニカルなドラミング等も手伝い、音が暴れまわるような雰囲気を感じ取ることができる。しかし、そんな中であっても冷静さを失わずに主張をするのが、クリアで滑らかなメロディ。そして、NARASAKIのつぶやくようなヴォーカル。ボソボソと歌う声でも、何かを訴えるには十分なほどの存在感を放っているし、時には野生的に叫んだりもしている。

キュアーのカバーでもある①は、原曲の面影がほとんどないが、ひたすら突き出される暴力的なサウンドからは、このアルバムの内容が伺える。その後②から⑤までは名曲続きで休みなく突っ走り、⑥で流麗なメロディのミドルナンバーで小休止。ラストを飾る⑧は音がぐちゃぐちゃで意味不明。…と、少ない曲ながらも緩急をつけたサウンド展開で、ただの荒いロックアルバムに終っていない辺りが彼ららしい。それにしても、94年の日本でココまで瑞々しくて迫力のあるサウンドを作り上げているバンドがいた、というのが驚きだった。今聴いても古さを感じさせない、ディーパーズ初期の傑作。

トラックリスト

  1. Killing An Arab
  2. Amethyst
  3. Your Melody
  4. Earth Thing
  1. Summer Days
  2. Snow
  3. Blink
  4. The Visitors

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