「Jelly Tones」(1995) / Ken Ishii

1995年に発表された、ケン・イシイの出世作にして代表作の一つ。

曲のクオリティの高さなどから、他のクラブ系アーティスト（電気グルーヴ、オウテカなど）に影響を与えたといわれる本作。

テクノミュージックの入門編として、ファン以外の方にも是非とも味わってほしい作品である。

特有の近未来感、夜景の中を駆け抜ける疾走感、穏やかな水面をイメージする静謐さが入り混じり、夜中にじっくり聴きたくなるような作品となっている。

#1「Extra」に関しては、PVの映像も相まってまるで「AKIRA」の世界に入り込んだかのようだ。

水が跳ねるような繊細な音色や空気のように漂う電子音など、心地よく感じさせるサウンドが最小限の音で構成されている。優しい音が身体にスーッと入り込んでくるようなイメージ。

特筆すべき楽曲はやはり#1「Extra」だが、これでも本作中の曲と比較すると、アグレッシブな部類だったりする。以降の曲はバックグラウンドで流していてもすんなり受け入れられる繊細な楽曲ばかり。

私的な話になるが、『Sunriser』が私のケン・イシイとの出会いだった。アグレッシブに突き進むビートと音の使い方が気に入り、彼にとても興味を持った。

そこから傑作の評価が高い本作を聴いたものだから、意表を突かれた感じだった。

とはいえ、むしろ本作のほうが個人的には気に入ってしまったのも事実。都会のビル群を車内から眺めながら、思考を停止させてぼーっと本作を聴いたらきっと気持ちいいんだろうなーと、色々と妄想が膨らむ作品。