トランスミュージック史に燦然と輝く名作
Chicaneの2ndアルバム。
チルアウトを内包したトランスミュージック・・・と書くと、矛盾した表現に聞こえるかもしれないが、本作を言い当てるにはピッタリの表現だと思う。
クラブの熱気を取り払った、とても冷ややか且つ雄大な世界観を魅せる、シケインの最高傑作アルバム。1stアルバムもヒットしたが、本作はなんとUKアルバムチャート一位を記録。一躍トランスミュージックの大物となった。
クラブシーンから一歩引きつつもトランスを基軸に、儚いほどの美しさと冷たさを全面に取り入れ、ポップスにも接近した本作。
クラブ要素を内包しつつも、情景を思い浮かばせるほど美しさが際立っており、気品すら感じられる。まるで海岸沿いをドライブしているような、大空を羽ばたいているかのような、大陸レベルの壮大さを感じられる。
中でも#4「Saltwater」は、約10分と尺長の曲だがその時間を最大限に活かし、壮大さを完璧に表現しきった名曲である。#8「Don’t Give Up」では、ロックミュージシャンのブライアン・アダムスをヴォーカルに起用し、クールなサウンドを演出。大きな話題を呼んだ。#3「No Ordinary Morning」は、流れるようなシンセと女性ヴォーカルの組み合わせが非常に美しく、青空を一体化しているような心地よさを味わえる、お気に入りの一曲。
10曲どれもかけることの許されない、丁寧に構築された冷たくて輝かしい世界観。とにかく”壮大”という言葉が似つかわしい。静かな情景を眺めながら本作に陶酔できたらどんなに心地よいだろう。本作は個人的に、”こういうサウンドを探していた!”と手放しで絶賛できる作品。音楽の嗜好関係なく、すべての音楽ファンに勧めたい。
トラックリスト
- Overture
- Low Sun
- No Ordinary Morning
- Saltwater (Orginal)
- Halcyon
- Autumn Tactics
- Overlap
- Don’t Give Up
- Saltwater (The Thrillseekers Remix)
- Andromeda
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