「Just for a Day」(1991) / Slowdive

レビュー

夢幻的なシューゲイザーの完成形

Slowdiveの1stアルバム。デビュー作にして早くも注目され、たちまちヒットを記録した作品。他のシューゲイズバンドが荒々しい轟音を強調していた中で、とても耽美なサウンドを追求していた彼ら。

耳元をシュワーと通り抜けていく優しい轟音や耳をキーンと劈くフィードバックノイズ。耽美なメロディにエコーが掛かりまくり、いつまでも鳴り渡る残響音…。彼らの奏でるサウンドはどこをとっても幻想的で耳に優しく、体を仰け反りたくなるほどの陶酔感を味わえる。

エコーの掛かりまくったサウンドに関しては、地の果てまで響いていくような感覚で、聴き手は無限の想像力をかき立てられる。個人的には天上界から暖かい光が振りそそぐのが見えるかのようだった。

スロウダイヴの魅力が凝縮されたような名曲③や、どうしようもない絶望感が漂う⑧が特に好き。インストも含め、どれもクオリティの高い音作りがされているため、9曲といえども十分満足できる作品。

因みに、曲のタイトルも「Dream」「Breeze」など、サウンドの雰囲気が現れたキーワードが含まれているのが良い。

以降の作品では口ずさめる楽曲やロックテイストが含まれた轟音度の高い楽曲が増えてくるのだが、本作は穏やかに聴かせる楽曲が多いということで、サウンドの海に体を委ねるようにして聴けると良いなと思う。

そして本作はシューゲイザーの代表作として語り継がれている作品の一つ。最近再発されたモノにはアルバム未収録の名曲「Morningrise」がボーナストラックとして収録されているので、そちらも要チェック。

Slowdive / Just for a Day
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