「The Comfort of Madness」(1990) / Pale Saints

レビュー

美しい音色と变化自在のバンドサウンド

Pale Saintsのデビューアルバム。

イギリスの有名なインディレーベル4ADからデビューし、瞬く間に話題をかっさらった作品であるとともに、Pale Saintsの代表作でもある。荒々しさと美しさが組み合わさった、まさに「狂気とやすらぎ」といえる内容に仕上がっている。

バックのサウンドが荒々しさを表現し、女性勝りの美声を放つイアンのヴォーカルがコーラスを交えて甘~く歌い、心地よさを表現している。特にギターはエコーが掛かった耽美なサウンドを出しつつ、ノイジーにかき鳴らしたりもしていて、変芸自在にサウンドの顔を変えている。

この作品で異色の曲が、心地よさを際立たせたミドルナンバー#3「Sea of Sound」で、大海原を静かに漂っているかの如くの雰囲気を醸し出している。

その次に続くのが2分弱で一気に疾走していく#4「True Coming Dream」で、個人的にこのアルバムで一番好きな楽曲。#11「Time Thief」は狂気が前面に出てきた名曲で、怪しい雰囲気に激しい転調、攻撃的な演奏を聴くと良く分かる。

荒々しいノイズや演奏に絡んでくる繊細なメロディと甘いヴォーカルを聴けば、「狂気のやすらぎ」というタイトルがいかに的を射ているかがわかる。正反対の音楽性を見事に組み合わせ、狂気を心地よいサウンドとともに表現した至高の作品。

Pale Saints / The Comforts of Madness
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