「Road Eyes」(2010) / Amusement parks on Fire

レビュー

バンドサウンドを貫くニューゲイザー、待望の新作

マイケルフィーリックによるソロプロジェクト、Amusement Parks on Fire(以下APOF)の待望の3rdアルバム。

正しく”待望の”と言わざるを得ない、ニューゲイザーバンド4年ぶりの新作。フロントマンであるマイケルのセンスが溢れた前作『Out of the Angeles』は、往年のシューゲイザーサウンドを意識して制作されたそうで、コンセプチュアルな名作となった。これにより、APOFはニューゲイザーバンドの中で頭一つ秀でた存在となったと思う。

ニューゲイザーシーンは、エレクトロニカを組み合わせたグループが多い中、APOFはあくまでバンドサウンドを強調した、重量感のあるサウンドを貫いているのが魅力的。層を重ねた轟音ギターが空間を支配する様は何度聴いても圧巻である。

先行で公開された新曲#2「Flashlight Planetarium」は、2分ほどで駆け抜ける楽曲だが、同じフレーズを繰り返す、今までになくストレートでシンプルな楽曲。リフを弾いているときに身体を上下させているマイケルを見ていると、厚みのあるサウンドに押しつぶされそうになっているかのようにも見える(笑)それほどにサウンドに力強さを感じた。

上記のようなパワフルな曲から突如としてノスタルジックな楽曲(#3「Inside Out」)に切り替わるのは相変わらず。本作もこのように波の満ち引きのように起伏のあるアルバム構成になっており、前作同様アルバム全体を意識した内容となっている。間違いなく前作に引けを取らない名作となっている。

その他の楽曲としては、#8「Water From The Sun」がお気に入りで、コーラスのハーモニーが美しく、ギター音の波とともに包み込まれるように空間に鳴り響く。2分に渡るギターノイズのアウトロも心地よい。

待ちに待った新作をリリースした彼らの作品は、期待を裏切らないサウンドという印象で、良くも悪くも現状維持、といった感じだった。前作と今作で現在の音楽性をやりきった感もあったので、次作では大きな変化を遂げるんじゃないかと期待してしまう。

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