「xx」(2009) / The xx

レビュー

2005年に結成した新生ロックバンド、The XXによるデビュー作。

ミニマルで美しい新生ドリーム・ポップバンド

余計な音が排除されたミニマルなサウンドでドリーミーな音楽を作り上げるバンドが00年代にいくつか現れてきたが、The XXはその中の筆頭といえる存在である。

音数がとても少なく、ヴォーカルは呟くように歌う。黒で塗りつぶすようにベース音が響き渡り、まるで殺人事件でも起こりそうな真夜中の人気のない高架下を再現しているようだ。

しかし、このバンドの肝は、ただ暗いだけではなく、浮遊感のある美しい音色を織り交ぜ、中毒性のある音作りをしているところである。

地味に見える個々の楽曲の中に、それぞれ特徴的なメロディがあることに気づくと、とても心地よく感じて何度も聴きたくなる。

そのため、ジョイ・ディヴィジョンのような鬱になるような音楽ではなく、情景などを浮かび上がらせるような音楽のように感じた。

邦画の名作「告白」の挿入歌

このバンドとの出会いは2010年に上映されたミステリー映画「告白」だった。押しつぶされんばかりの緊張感の中、それを忠実に表現した重苦しく静かな楽曲#6「Fantasy」。ホラーじみた不気味さもあり、劇中のシーンに怖いくらいマッチしていた。

頭がおかしくなりそうなほど暗いが、美しさも同居していて、とても癖になる。マッシブ・アタックの「Mezzanine」に近い感じ、と表現すれば一部の人にはわかるかもしれない。

このようなバンドがインディから現れてはプッシュされるイギリスは、やっぱりセンスがあるんだなーと実感。このような音楽は、心のデトックス効果がありそうで、無性に聴きたくなる。

トラックリスト

  1. Intro
  2. VCR
  3. Crystalised
  4. Islands
  5. Heart Skipped a Beat
  6. Fantasy
  1. Shelter
  2. Basic Space
  3. Infinity
  4. Night Time
  5. Stars

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