「One by One」(2002) / Foo Fighters

レビュー

Foo Fightersの4thアルバム。95年にデビューして以来、目だったヒットに恵まれずにいた彼らだったが、本作をきっかけに大きく飛躍。ベストロックアルバム賞に選出されるなど、ヒットを記録した作品である。

それは同時に、デイヴ・グロールのソングライティングとしての才能が大きく認められた結果でもあるだろう。

覚醒したグランジの遺伝子

ざらついた骨太のギターサウンドを中心に、とてもパワフルなサウンドが展開されていく。これは、もはやこのバンドを象徴するものであり、本作でも存分に味わうことができる。

一歩一歩踏みしめるように前進する曲調が力強さを感じさせる一因ともなっている。このバックの力に物怖じせず立ち向かうのがデイヴのヴォーカル。がなり声で空の彼方まで突き抜けるように叫ぶ声が印象的な、とても迫力のあるヴォーカルを披露。

それは日常生活の鬱憤が吹き飛ばされていくかのようで、とても痛快である。

名曲#1「All My Life」をはじめ、前述どおりパワフルなロックが目白押し。どのトラックからも熱のこもったヴォーカルとサウンドが放出されていて率直でカッコいいと思える作品である。ブライアン・メイが参加したメロディアスな#6「Tired of You」など変り種はあるが、根底はやはりロック。ニルヴァーナで培ったロックの魂みたいなものは、こういうところで引き継がれているのかもしれない。

ニルヴァーナと比較されるのが避けられない境遇の中、デイヴ特有のポジティヴな曲調を前面に押し出し、オリジナリティが大きく反映された本作。そんな作品が支持されたということもあり、バンドのイメージを決定付けたアルバムと言えるだろう。過去を振り返らない、デイヴの覚悟を感じさせる一枚でもあった。

トラックリスト

  1. All My Life
  2. Low
  3. Have It All
  4. Times Like These (One-Way Motorway)
  5. Disenchanted Lullabye
  6. Tired of You
  1. Halo
  2. Lonely As You
  3. Overdrive
  4. Burn Away
  5. Come Back

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