「Chocolate Starfish and the Hot Dog Flavored Water」(2000) / Limp Bizkit

レビュー

リンプの傑作にして、ラップメタルの頂点に君臨するアルバム

汚らしい隠語満載、そしてとても長いタイトルがもうインパクト抜群。大ヒットの前作からの勢いをそのままにリリースとなった約一年ぶりのオリジナルアルバム。

本作は、M:I-2のテーマソングともなった#10「Take a Look Around」を始め、ドラマティックな楽曲が増えた印象。勢い、話題性、完成度の高さなどが相まって、前作以上の売上を記録。バンドの絶頂期を象徴する作品である。個人的にもリンプの代表作として推したいのはコレである。

前作は脳天気なイメージを持たせる作品だったのに対し、本作ではメロディアスなパートが積極的に組み込まれたことで、シリアスな雰囲気がとても強くなっている。そんな静かなメロディパートから、彼らお得意の極悪ギターリフへと変貌してく展開がまた強烈。

静と動の対比を前作以上に感じさせ、それが音に別の意味での重たさを加え、また爆発力をより研ぎ澄まされたものにしている。これらの点から、なかなか完成度が高く、器用に作られた作品だという風に感じた。

#2「Hot Dog」~#4「Full Nelson」までは、前作の雰囲気を踏襲しつつ、前作以上に重たいサウンドで攻め立てる。前作が気に入っていた方にとっては、この三曲は特に気に入ることだろう。

ただ本作の魅力は#5「My Way」から始まるといっても過言ではない。霧が立ち込めるような静けさをもったオープニングが新鮮なこの曲は、このアルバムのシリアスサイドを特に強調している。

他にも#7「Livin’ It Up」#10「Take a Look Around」#11「I’ll Be OK」#12「Boiler」などは特にドラマティックで、美しささえ感じてしまった。

個人的に#7「Livin’ It Up」がこのバンドで一番好きな楽曲。Aメロの美しさもさることながら、一つの曲の中で様々なリフが飛び出し、飽きずに何回も聴きたくなる。聞き所満載の名曲。

メロディアスさばかり強調して書いたが、音の重量感も本作のほうがあると思う。本作は、色んな意味で軽かった前作と比べると、明らかな進化を感じさせた。

フレッドのラップは当然好き嫌いが別れるところだと思うが、やはり彼らの魅力は、太いギターリフによる暴力的なサウンド。それを十二分に活かし、新たな音楽性を見出した彼らの代表作。ラップメタルの頂点にして完成形と言える作品である。

トラックリスト

  1. Intro
  2. Hot Dog
  3. My Generation
  4. Full Nelson
  5. My Way
  6. Rollin’ (Air Raid Vehicle)
  7. Livin’ It Up
  8. The One
  1. Getcha Groove On
  2. Take a Look Around
  3. I’ll Be OK
  4. Boiler
  5. Hold On
  6. Rollin’ (Urban Assault Vehicle)
  7. Outro

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