「Every Man for Himself」(2006) / Hoobastank

レビュー

前作「The Reason」が大ヒットを記録し、さらにはグラミー賞にまでノミネートするなど、バンドにとって大きな飛躍を果たすことになった彼ら。

スピード感のある楽曲とメタリックでヘヴィなサウンドが特徴的で、今までに多くのキッズを虜にしてきた。

新たな出発を果たした最高傑作

そんな人気絶頂の中リリースされた本作「Every Man for Himself(邦題:欲望)」はというと、スピード感が抑えられ、メロディアスなパートに重きをおいた作品に仕上がっている。勿論、このような楽曲は彼らの持ち味の一つであるわけだが、まさかここまでミドルテンポの楽曲がメインに来るとは…、というのが率直な感想である。

前作までのパワフルな楽曲を期待していたファンは戸惑い、評価も軒並み低い傾向にある作品となってしまった。

しかし本作は、低い評価で終わらせていい作品とは思わない。むしろ、「欲望」は彼らの作品中でも最もクオリティが高い作品ではないかと思っている。今までの自信のある部分を捨てるのは勇気のいることだし、当然、本作を作るに当たって本人たちも試行錯誤したはず。

彼らは常に新たなステップを進むことを目標としていて、そのためなら過去の持ち物も投げ出す覚悟を持っているのだろうか。どちらにせよ、3rdアルバムでこのような作風の作品を作り上げたことに関して、彼らは早熟すぎたんだなと感じた。

リードトラック#2「Born to Lead」は、今までにないサウンドを取り入れつつもシンプルな作品に仕上がっている。しかし、中毒性が半端ではなく、数年後の現在でも飽くことなく聴ける名曲。

以降のトラックも、何回も聴きたくなる楽曲が目白押しで、以前までの彼らがどうの言おうとする前に、曲に引き込まれてしまう。7分にも渡る#13「More Than a Memory」は本作のラストを飾るに相応しい壮大で感動的な曲。

以前までの彼らとは切り離して聞いてもらいたい作品である。ただ前作にも”The Reason”というメロディアスなナンバーがあるだけに、このような音楽を突き詰めていけば素晴らしい作品ができることは想像が付くかもしれない。

感情を揺さぶられ、涙腺を刺激する音楽。個人的に本作は、これからも大切に聴いていきたいアルバムとなった。

トラックリスト

  1. The Rules
  2. Born to Lead
  3. Moving Forward
  4. Inside of You
  5. First of Me
  6. Good Enough
  7. If I Were You
  1. Without A Fight
  2. Don’t Tell Me
  3. Look Where We Are
  4. Stay the Same
  5. If Only
  6. More than A Memory

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