海岸線沿いを駆け抜ける、新世代のギターポップ
澄み渡るヴォーカルとコーラスワークが心地よく、ガレージサウンドにリヴァーヴが効かせたローファイなサウンド。夏の日差しのようにキラキラしたサウンドが魅力のサーフ・ロックバンドである。その雰囲気とサウンド作りは60年代、とりわけビーチボーイズの影響を強く感じさせる。海岸線をオープンカーで走り抜ける(例えが古風?)夏のイメージが強い作品である。
Best Coastは、2009年から活動を始めた、アメリカの男女二人組のロックバンド。本作はデビュー作に当たり、ギターをかき鳴らしたとてもシンプルで聴きやすいギターポップを披露し、各方面から高い評価を受けた。そしてヴォーカルのフワフワ感も印象的なので、Beach Houseなどの近年のドリーム・ポップバンドにも通ずる雰囲気を持っているようにも感じる。ドラマ映画などでさり気なくかかっていたらお洒落だろうなぁ。
個人的に惚れ込んだのは#1「Boyfriend」という曲で、瑞々しいギターサウンドと、コーラスを重ねた透き通った歌声が美しく響き渡る。正直、本作はずっとこんな感じで、太陽の光が降り注ぐように眩しいサウンドが敷き詰められている。また30分ほどで聴くことがが出来るコンパクトさも印象的で、夏が恋しくなった時や陽の光に包まれたいときに(?)、手っ取り早く心地よくなれる作品である。
それだけに1~2分という個々の曲の短さに物足りなさを感じたのは事実。コンパクトにまとめるからこそ彼らの魅力が引き立っているのかもしれないが、これだけセンスの良い曲を作り、心地良いサウンドを作り出せるのだから、もっと聴いていたい、もっと浸っていたいと感じる。是非とも技工を凝らした大作を聴いてみたいものだ。このサウンドメイクのままだったらきっと、本作以上に楽しめる音楽になると思う。
トラックリスト
- Boyfriend
- Crazy for You
- The End
- Goodbye
- Summer Mood
- Our Deal
- I Want To
- When the Sun Don’t Shine
- Bratty B
- Honey
- Happy
- Each and Everyday
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