「MACHINA / The Machines of God」(2000) / The Smashing Pumpkins

レビュー

2000年に発表されたスマッシング・パンプキンズの5thアルバム。本作をリリース後バンドは一度解散の道をたどることになる。

予めお伝えしておくと、本作は個人的にスマパンで最も好きな作品である。それどころか、今までに数多くの音楽を聴いてきても尚TOP5に入るほどの、究極のお気に入りアルバム。

前作で不参加だったドラマーのジミー・チェンバレンが復帰したことに伴い、全盛期の荒々しいロックを意識した作品に仕上がっており、前作に続いてまたしても作風を大きくシフトチェンジすることとなった。同時にオリジナルメンバーでベースのダーシーが、ジミーのドラマ加入を快く思わず脱退。その後任として、元ホールメリッサが加入することになる。

ジミー・チェンバレンのドラムが復活し、2ndや3rd程ではないが轟音ギターも蘇り、共に水を得た魚のように曲の中を駆け回る。特に#1「The Everlasting Gaze」#7「Heavy Metal Machine」では全盛期の凄味の片鱗をまざまざと見せつけられ、圧倒される、とても重層で攻撃的な楽曲。

しかしそれ以上に印象的なのは、いつにも増して情緒的な雰囲気。まるで胸を締め付けられるような寂しさがアルバム全体を支配しているかのよう。補足すると、本作は解散を前提に作られたらしく、それが影響しているのかもしれない。

今まで数々の壮大な物語(楽曲)を個性的に表現してきたスマパンだが、本作の夜空を眺めながら涙しているような悲しい雰囲気は、過去作とはやや異質に感じられる。

加えて強い決意や意思を感じさせる重たいサウンドとビリー・コーガンの泣くような声も相まって、感情を大きく揺さぶられるのは間違いない。

10分近くにも及ぶ大曲#10「Glass And the Ghost Children」は”壮大”と言うよりは、暗く深い世界に堕ちていく様子を表現しているかのようで、中盤はちょっと不気味。

過去作に比べると即効性は弱いと思われ、聴くほどに魅力を感じるタイプの作品と言える。他にもメロディの美しさとギターサウンドの荒々しさとの対比が良い具合に重なっており、攻撃的なサウンドに回帰したとはいえ、アルバムの雰囲気も相まってとても優しいサウンドが構築されている。

スマパンという物語の最終章に幕を引くかのような、情感あふれる名アルバム。

トラックリスト

  1. The Everlasting Gaze
  2. Raindrops + Sunshowers
  3. Stand Inside Your Love
  4. I of the Mourning
  5. The Sacred and Profane
  6. Try, Try, Try
  7. Heavy Metal Machine
  8. This Time
  1. The Imploding Voice
  2. Glass And the Ghost Children
  3. Wound
  4. The Crying Tree of Mercury
  5. Speed Kills *
  6. Age of Innocence
  7. With Every Light
  8. Blue Skies Bring Tears

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