過小評価されているギタリストが放つ、寡黙な存在感

コラム

音楽、特にロックを中心に色々聴くようになると、ギターに着目して聴くことが多くなるのではないかと思う。バンドメンバーに着目したとき、ヴォーカリストと同じくらいかそれ以上の存在感を放つギタリストも珍しくない。

そんな中で、自分がギタリストの好みについて認識するきっかけとなったのが、過小評価されているギタリストランキングの記事だ。

過小評価されているギタリスト

古い記事だが、2003年にローリングストーン誌が「史上最も、過小評価されているギタリスト25人」というのを発表していた。

ローリング・ストーン誌が選ぶ歴史上最も過小評価されているギタリスト25

「史上最高のギタリスト」のランキングと対を成す、いわゆる裏ランキングである。当然だが、名を連ねている人物は世間一般で言われるギタリスト像とは異なることが分かる。

例えば、4位のジョージ・ハリスン(元The Beatles)、8位のミック・テイラー(元The Rolling Stones)、10位のジョニー・グリーンウッドRadiohead)、15位のジョニー・マー(元The Smiths)、16位のジョン・フルシアンテ(Red Hot Chili Peppers)辺りだろうか。

派手さを求めない、職人気質な佇まい

ランクインしているギタリスト達の共通点は、いずれも所属バンド内に華のあるメンバーがいること。彼らはその横で黙々と職人的な演奏をしていることである。

テクニカルなギターソロをかまし、圧倒的存在感を示すギタリストは、誰の目から見ても素晴らしいことが分かる。ただ個人的には、バンドの中核を担いながらも、控えめな佇まいのギタリストにこそ趣を感じるのである。図らずとも陰に隠れながら黙々と音を紡ぎ出すようなギタリストである。

俗に言う”縁の下の力持ち”という人たちである。

ただ、そのバンドのことを知れば知るほど、サウンドの核を担うメンバー(ギタリスト)のことが好きになるのは必然かもしれない。例えばRadioheadに関しては、カリスマ性のあるトム・ヨークが目立つため、誰もが最初は彼に釘付けになる。しかし、バンドに惹かれ始めた途端、横で前髪を垂らして機材をいじったり、奇怪な演奏ををするジョニーに魅了されていることに気が付くことになる。

特筆すべきギタリスト5人

それを踏まえた上で個人的に特筆したい、職人気質なギタリストは以下である。

  • ジョニー・マー (元The Smiths
  • ロビン・ガスリー (元Cocteau Twins
  • ニック・マッケイブ (元The Verve
  • ジェームス・イハ (元The Smashing Pumpkins
  • バーナード・バトラー (元Suede

上記のギタリスト達は、ある程度評価もされているが、鳴らすギターサウンドや本人たちの佇まいなどが、とても味があり、渋みがある。

ジョニー・マー

モリッシーの横で堅実なギタープレイで魅せた、80年代の陰のギターヒーロー。

「ギタリストはあくまで伴奏者。テクニックをひけらかすのではなく、曲にふさわしいフレーズさえ弾けばよく、無駄な音は一音たりとも弾くべきではない」と言う格言に彼の魅力が詰まっている。そこに感化されたギタリストは数知れず。

ノエル・ギャラガーも彼のプレイを見て、「カッコよくて、正直ジョニー・マーになりたいと思った。」とコメントしたという。

流麗なメロディラインを紡ぐように鳴らすジョニーの演奏はまさしく芸術の域。ジャンルに囚われないマルチなスタイルも持ち合わせており、そこもまた魅力的である。

The Smiths時代の名曲をカバー。丁寧に演奏しながら、チューニングのペグいじったりの大胆な演奏も見どころ。
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ロビン・ガスリー

ロビン・ガスリーついてはCocteau Twinsを聴けば一目瞭然だが、最も美しい音色を紡ぎ出すギタリストではないだろうか。

天上にも昇るようなCocteau Twinsの世界観は、彼なしではありえない。エリザベス・フレイザーの声が苦手な人はロビンのソロ作品を聴いてみてほしい。

バーナード・バトラー

Suedeの1stと2ndでその才能を知らしめたバーナード・バトラーだが、過激なブレット・アンダーソンの裏で高い評価を受けていた名ギタリスト。

ブレットからも「歌うようなギター」と評されたたそのプレイは、辺りを桃色で覆うようなサイケなギターサウンドで、Suedeの毒々しさをこれでもかと言うほど全面に押し出していた。上記のランキングにも選出されなかった彼こそ、ギタリストとしての過小評価が否めない。

ニック・マッケイブ

ニック・マッケイブは、ライブを見ると分かるが、あれほどの浮遊感漂うサイケな音を出していながら、顔色一つ変えずにムスっと演奏している様が印象的。

自由奔放にノイズを作り出しているライブ映像なんかを見てると、彼もまた、職人と呼ぶにふさわしいギタリストだと言える。リチャード・アシュクロフトのようなカリスマ性のあるヴォーカリストがいるため、その対比で格好良さがとても栄えている。

プロデューサーのウォーレン・モリスからは「これまで一緒に仕事をした中で間違いなく最も才能のあるミュージシャン」と評されており、同業者からの評価も高い。

『Urban Hymns』で影を潜めていた特徴的なギターワークが『Forth』で戻ってきたのは本当に嬉しかった。ニックの魅力が炸裂している。

後半の

ジェームズ・イハ

ジェームス・イハについて、実はビリー・コーガンの方が「過小評価されているギタリスト」で22位にランクインしている。確かにビリーも各所でギターテクが高く評価されている人物だが、ジェームス・イハのひねりのあるギターと他のサウンドとの重なりこそ、バンドの根幹に関わる重要な部分だった。個人的にはバンドの色を決定づける音色を鳴らせるアーティストこそ良いギタリストだと思っているので。ただ、ビリーのノイジーな演奏もたまらなく好き。

レス・ポールの格言

レス・ポールが言うには、「ラジオで流れている自分のプレイを母親が聴いてそれが息子のだと分かるようになれば、ギタリストとしては一人前」なんだそう。そのアーティストでしか有り得ないフレーズや音色を作れるギタリストが素晴らしいというのは言うまでもない。

今までは、ギタリスト個人に深い想い入れはなかったが、こうして文章に起こしてみると、佇まいや魅力を再認識するきっかけになった。これからはギタリストのフレーズや音色をより深く聴くことができそうだ。

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