新しい時代を呼び起こしたシンセポップ
同国で起こっていたパンク・ムーブメントは何のその。
YESを尊敬して止まないバグルズの二人は、バンドサウンドとエレクトロニクスがぶつかり合うようなテクノポップをこの作品で作り上げた。
その中で傑作と言えるのが#2「Video Killed the Radio Star」な訳だが、今では80年代を代表する曲とも言われる歴史的名曲だ。”ラジオスターの居場所を奪った”と歌うこの曲は、まさに時代の転換期であるニューウェイブ幕開けを表すにふさわしいと言えるのではないだろうか。
そして、近未来からやってきたような彼らの存在感も・・・。大きなメガネをかけて演奏するトレヴァー・ホーンは、科学者のような出で立ちをしていて、なかなかの存在感を示している。
シンセサイザーの音や随所にかかるエフェクト、アンサンブルから細かな効果音まで、革新的なサウンドが存分に含まれた楽曲たち。そこからは当時の音楽シーンを近未来へと導いていくような力を感じる。
以前からプログレバンドが革新的すぎるほどのサウンドを奏でていたけど、バグルズはそれをポップスに消化したような印象を受けた。それこそ、大げさなくらい電子音を用いて。
おかげでこれほど近未来感を出している作品も珍しい、と言えるほどの作品となっている。実際、当時の人が思い描いていた21世紀のイメージは、バグルズのこれらのサウンドに集約されていると言っても良いのではないだろうか。当時を知らない私が言うのもアレだけど。
#2「Video Killed the Radio Star」は当然だが、ポップを極めたような曲が全編に渡って演奏され、どれもこれもポップセンスが異常に高くてびっくり。巧みに使いこなすシンセのサウンドや女性コーラスには心が暖かくなり、胸が熱くなるばかりで、おそらく幸福感に満ちた作品なのだろう。
そして、#7「Astroboy」とは勿論”鉄腕アトム”のこと。こういった単語が出てくるのもまた、バンドを彩っている魅力の一つでもある。テクノポップの魅力が詰まった、時代の温もりを感じさせる一枚。
トラックリスト
- Living in the Plastic Age
- Video Killed the Radio Star
- Kid Dynamo
- I Love You (Miss Robot)
- Clean, Clean
- Elstree
- Astroboy (And the Proles on Parade)
- Johnny on the Monorail
※赤マーカは、おすすめ曲
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