「Victorialand」(1986) / Cocteau Twins

レビュー

イギリスのニューウェーブ期に耽美なサウンドで存在感を示したCocteau Twinsによる4thアルバム。

前作があの傑作「Treasure」だったが、今作も荘厳さを突き詰めたようなサウンドを構築している。

エリザベス・フレイザーの声といい、月夜に照らされたガラス細工のようなロビン・ガスリーのギターの音色といい、天上界から響き渡るようなサウンドメイクには相変わらずうっとりとさせられてしまう。

微細な感性を刺激する静寂の世界

おそらく本作はバンドキャリアの中で最も静謐な作品で、アンビエントミュージックと言っても差し支えない。それを象徴する部分として、ドラムの音が全く取り入れられていない。

これが、より非現実的で近寄り難い厳かな雰囲気を創りあげているように思う。

メロディの湖を漂うかのような雰囲気は、息を飲むほどに幻想的で穏やか。かつ抑揚をほとんどつけずに、アルバム全体で一定の流れを保っている。

寝静まった宵に溶けこんでいく雰囲気は、本作が圧倒的。思えば歌声もとても繊細に響いており、張り上げたようなヴォーカルはほとんど使われていない。

個人的に#1「Lazy Calm」のイントロが特にお気に入りで、静寂から生まれたような繊細な音色に聞き惚れる。

他にも、深い闇を感じさせる、物哀しい#4「Whales Tails」も素晴らしい。前作のように目立った名曲は無いが、アルバムを通してとても調和のとれたアルバムである。

トラックリスト

  1. Lazy Calm
  2. Fluffy Tufts
  3. Throughout the Dark Months of April and May
  4. Whales Tails
  5. Oomingmak
  1. Little Spacey
  2. Feet-Like Fins
  3. How to Bring a Blush to the Snow
  4. The Thinner the Air

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