「マグマ」(1997) / 稲葉浩志

レビュー

あの日本のロックアイコン、B’zのヴォーカリスト稲葉浩志のソロ作品。

バンドと比べると、なんてやさぐれた世界を作り上げているんだろうと、聴くたびに思う。

人間臭い稲葉浩志

…運動神経抜群で、頭脳明晰。ルックスもよく、極めつけは国内を代表する歌声の持ち主という、我々からすればもはや超人の域に達している稲葉浩志。

ロックを体現するようなハイトーンかつ野性的な歌声は、もう誰にも真似できない孤高のものであるといえる。

稲葉氏は人気絶頂のB’zを尻目に、本作でソロデビューを果たすのだが、これがとても感傷的というか内省的というか…。

本作を手に取る人は当然、B’zの延長線上のサウンドを期待するものだから、パワフルな作品を想像していただろう。まあソロだからユニットと違うのは当たり前なのだが、表の住人だと思っていた稲葉氏が、陰の強い本作を創りだしたことで、より魅力が増したように思う。

おそらく、とても人間臭い作品なのだと思う。泥臭ーい演奏に野性的なヴォイスが印象的だが、特筆すべきは日常を切り取ったようなやさぐれた歌詞。憂鬱で堕落した、投げやりのようで反骨精神さえ感じさせるその世界。稲葉氏はどこでその言葉を紡ぎだすきっかけを経験したのだろう、と不思議でならない。こうなってくると、稲葉さんも我々と同じ人間なんだと、なんだか親近感すら湧いてくる。

ポップさとは無縁の作品になったが、ある意味穏やかで、ある意味刺のある、とても渋い作品である。B’zのスタジアム・ロックを聴かず嫌いしているロックファンの方々、この作品はオススメですよ。

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