「Souvlaki」(1993) / Slowdive

レビュー

より完成度の上がった夢幻的なサウンド

Slowdiveの2ndアルバム。繊細で幻想的なサウンドを徹底的に追求した前作が評論家の間で評判となり、早くも好評を博した。本作は前作の内容を継承し、且つそれらをさらに煮詰め、推し進めることに成功。二枚目にしてバンドの集大成ともいえる作品を生み出したのである。

前作の高評価でシューゲイザーブームの代表的存在になりはしたが、それがかえって本作の評価を落としているような気がしてならない。というのも、本作が発表された93年というのは、既にブームが終焉の道を辿っていた頃である。ブームを担っていた他のバンドは、試行錯誤を繰り返しながら作品をリリースしたものの、世間の目は冷ややかだった。スロウダイブも例外ではない。特にブームの流れを大いに汲んでいる本作は尚更である。時代錯誤の作品と見られて無視されるのはあまりにもったいない。

それでもバンドは、デビューから解散に至るまで音楽性を大きく脱却させるようなことはせず、徹底して耽美なサウンドを追い求めた。いつまでも鳴り渡るギターの音色と、凍てつくような世界を形成するノイズ。彼らが作り上げたサウンドに浸っていると、白い吐息が漏れてしまいそう。あえて前作との相違点を挙げるならば、音の厚みが増したことや曲の構成のシンプルになったこと。特に轟音をサウンドとして取り入れることに躊躇がなくなっているというのが大きい。迫力のあるギターノイズに、深いリバーブを何層にも重ねたメロディ。それらのサウンドはお互いを抱合し絡み合っている。この神々しい雰囲気は、他のジャンルを見渡しても唯一無二かもしれない。

世間一般の評価は散々だが、この作品をスロウダイブの傑作に挙げる人も少なくない。因みに、ボーナストラックはエレクトロニカサウンドに重点を置いているため、本編とは音の印象が大きく異なっている。

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