「Who’s Next」(1971) / The Who

レビュー

ビートルズローリング・ストーンズと並び、後世のロックに多大な影響を与え続けているのがザ・フーである。

荒々しいサウンドと破天荒なライブパフォーマンス、そして革新的な音楽性なども相まって、60年代~70年代を中心に活躍し、ロックの可能性を押し広げた偉大な存在である。

革新性とThe Whoらしさ

ロックオペラを確立した『Tommy』、そしてシンセサイザーをいち早く取り入れた本作『Who’s Next』などから、その革新性は大いに伺える。

本作は、仰々しいシンセサイザーが印象的な#1「Baba O’Riley」がピックアップされがちだが、個人的ベストトラックは#2「Bargain」。薄いシンセ音をバックに畳み掛ける展開が特に好きで、この曲でこそシンセサイザーが有効に使われていることを感じることが出来る。

確かに#1「Baba O’Riley」のシンセの使い方は、時代の変わり目を感じさせるもので、無条件に興奮するが、彼らはそこに執着はしなかったようである。

つまり、革新的な音を実験的に色濃く使っているわけではなく、あくまで曲の雰囲気・世界観を表現するために使っているということが分かる。

というわけで、ザ・フーのハードな演奏や分厚いリズムセクションは健在だし、鍵盤やギターの穏やかな音色も相変わらず聴くことができる。本作が時代を跨いで支持され続けている理由の一つは、変化はあっても変わらないザ・フーらしさ、なんだと思う。

ザ・フーの入門に最適

本作は元々、別のコンセプト(ピートのアイデアで、前作『Tommy』の第二弾)で制作される予定だったが、それが一旦白紙になり、本来の本作が制作されたそうである。

このようにピートの意図とは違う形で作られた作品だが、結果的にザ・フーの評価をより一層高めることとなった。

個人的にザ・フーを本格的に聴き出したのは本作からである。曲の流れが重要な『Tommy』のようなコンセプトアルバムではないので、曲単位で楽しめるし、何よりそれぞれの曲の出来が良いので、とっつきやすさで言えば本作が一番かと思う。

70年代に突入してからは、ロックの表現方法は破竹の勢いで増えていった。『Who’s Next』は、そんなロック黄金期の始まりを告げた作品、と言えるかもしれない。

言うまでもなくロックの名盤である。

トラックリスト

  1. Baba O’Riley
  2. Bargain
  3. Love Ain’t for Keeping
  4. My Wife
  5. The Song is Over
  6. Getting in Tune
  1. Going Mobile
  2. Behind Blue Eyes
  3. Won’t Get Fooled Again
  4. Pure and Easy
  5. Baby Don’t You Do It

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