「Unknown Pleasures」(1979) / Joy Division

レビュー

語り継がれる、ポスト・パンクを象徴する存在

Joy Divisionの1stアルバム。陰鬱な歌詞、地の底から沸き上がってくるようなイアン・カーティスのヴォーカルのインパクト。そしてそれを支える緊張感漂うバンドサウンドは、多くの支持を集めることになり、後年のバンドに多大な影響力を及ぼした。

ジョイ・ディヴィジョン結成されたのはイギリスのパンクムーブメントの熱狂が冷めやらぬ1977年。自主制作でCDを出した後にファクトリーと契約を交わし、本作が制作された。

元々は、当時のパンクムーブメントに触発された形で結成されたバンドであり、本作においてはそのパンクの荒々しさを継承している部分がある。しかしこのバンドの特色としては、際立った陰鬱さが挙げられ、非常に冷めきった佇まいが特徴的である。

地下の暗い倉庫で演奏しているようなサウンド、という形容を何処かで見かけたが、まさにそのとおりだと思う。光が届かず、四方八方を壁に遮られた部屋で演奏される、絶望感が漂う音楽。聴いていると生気を吸い取られそうで、長時間聞いているのは健康上宜しくないとさえ感じる。

ライブ映像を拝見しても、メンバーは表情を変えず、取り憑かれたように黙々と演奏する様が印象的である。呪詛のように響き渡るイアン・カーティスのバリトンボイス、部屋の空気を切り裂く鋭利なギターサウンド、幅広い音域をカバーするベース、そして淡々とリズムを刻むドラム。

当時は評論家からは高い評価を得たが、売上は芳しくはなかった。しかしイアンの死後にようやく一般にも評価されるようになり、いまやポスト・パンクバンドの代表作として、多くの方に聴き継がれている。ポストパンク・リバイバルバンドのほとんどは、サウンドの直接的なヒントをこの作品から得ているように感じる。ジャケット写真も、誰もが一度は目にしたことはあるだろう。

次回作「Closer」ではパンクの面影も消え、晩年のイアンの心理を反映したような、より不気味で完成された作品に仕上がっている。「Substance」で興味をもった方、ポスト・パンクというキーワードで彼らを知った方は、本作「Unknown Pleasures」を勧めたい。ポスト・パンクを味わう隙間が”まだ”残されている荒削りな本作を聴いて、まずは引いてほしい(笑)。

トラックリスト

  1. Disorder
  2. Day of the Lords
  3. Candidate
  4. Insight
  5. New Dawn Fades
  1. She’s Lost Control
  2. Shadowplay
  3. Wilderness
  4. Interzone
  5. I Remember Nothing

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