ポスト・パンクリバイバルの先駆者
The Stillsの1stアルバム。先行シングル①③⑩等がいずれもヒットし、彼らへの期待が高まる中リリースされたデビュー作。本作は大絶賛を受け、その後各国でライブを実施するなど、バンドは華々しいデビューを飾ったのである。カナダ出身で現在はアメリカを中心に活動をしているという彼らだが、サウンドを聴いただけでは完全にイギリスのバンドだと思い込んでしまう。なにせ余りにもメランコリックで落ち着いたサウンドを鳴らしているものだから。
バックのリズム隊がとても力強くスピード感のある演奏をする中、虚しく鳴り響く単音のギターメロディが前面に押し出されていることで、心の負の部分が引きずり出されるような錯覚に陥る。他にも、シンセやキーボードのサウンドもうっすらと乗っかっているため、ジョイ・ディヴィジョンなどを通過してきた耳には懐かしさを憶える人も多いはず。そして、ほとんどの楽曲が皮肉交じりに世の中を見ているような悲哀な曲なため、統一感はばっちりだが、それにしても寂しい。ヴォーカルの脱力した歌いまわしも影響してか、聞き手も思わずため息を漏らしながらうつむいてしまいそうになる。
印象的な楽曲は⑫。希望に胸躍らせるような日の当たるようなメロディラインが印象的な楽曲で、こういった曲がラストトラックというのは感慨深い。本作は夜中に高速道路を疾走したい衝動に駆られるのだが、おそらく⑫で夜明けを迎えるに違いない。他のトラックでず~っと負のオーラを浴びさせられても⑫で伏していた顔を正面に向けて、必ず昇る朝日を眺めたい。
トラックリスト
- Lola Stars and Stripes
- Gender Bombs
- Changes Are No Good
- Love and Death
- Of Montreal
- Ready for It
- Let’s Roll
- Allison Krausse
- Animals and Insects
- Still In Love Song
- Fevered
- Yesterday Never Tomorrows
※赤マーカは、おすすめ曲
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