「Reggatta de Blanc」(1979) / The Police

レビュー

3ピースの可能性を広げた作品

1977年にデビューして以後、数枚の作品をリリースして1986年に解散。わずか10年ほどの活動期間だったが、その間に優劣つけがたい5枚の名作を残した。どの作品にも共通して言えるのは、メンバーの高い技術力と、余計な音が削ぎ落とされたタイトな演奏である。スティングの肉体的なベース、アンディー・サマーズの流麗なギター、スチュワート・コープランドの緻密なドラミング…。彼らを語る際は、3ピースでの彼らの高い演奏技術について外すことは出来ない。

デビュー作『Outlandos D’Amour』は、パンクの流れを汲もうとして作られたと言われていて、傑作とされる5th『Synchronicity』と比較して聴くと、確かにスピード感や荒々しさを感じる。ただ洗練されすぎてて、他のバンドと完全に一線を画している。レゲエとロックを融合した音楽性も手伝い、2ndの本作『Reggatta de Blanc』では、1stの荒々しさを衰退させ、マイルドでスピード感のあるサウンドに仕上がっている。

個人的に、5th『Synchronicity』から遡る形で本作を手にしたが、名曲#1「Message in a Bottle」を聴いて、その駆け抜けていくサウンドに一気に惹きつけられた記憶がある。また、それとは対称的な楽曲でとも言える#6「Walking on the Moon」は、ギターの旋律と厳かな雰囲気が、まさにタイトル通りで非常に美しい。本作は前作同様、3ピースによる演奏に比重が置かれており、ロックバンドとしてのカッコよさはそのままに、3ピースで表現できる可能性を大きく広げようとした作品ではないだろうか。それにしてもここまで演奏でリスナーを惹きつけることができるバンドは、そういないのではないだろうか。

上記以外で印象的な曲は、インスト#2「Reggatta de Blanc」。徐々にテンションを上げていき、高揚感を増していく曲で、スチュアートのドラムの力強さが際立っている。

恐らく今のロックリスナーは『Synchronicity』からThe Policeを知る方が多いかと思われるが、演奏に迫力があり、ロックバンドとしてのカッコよさを味わえるのは初期の二枚の作品だと思う。是非とも遡って『Outlandos D’Amour』とともに聴いていただきたい。

The Police / Reggatta De Blanc

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