「In Utero」(1993) / NIRVANA

レビュー

NIRVANAにとって本作「In Utero」の制作は、アンダーグラウンド志向を取り戻す作業だったに違いない。というのも、前作「NEVRMIND」の大ヒットは、彼ら(特にカート・コバーン)が望んだものではなく、むしろ自らの理念に反してしまったと、自責の念にかられることになってしまう。

結果、その反動で生み出されたのが、この「In Utero」なのだと思う。

アンダーグラウンドへの回帰

本作は通算3作目にあたる作品であると同時に最後のオリジナルアルバム。プロデューサーにスティーブ・アルビニを迎えて制作されたことで、メジャー志向のサウンドは衰退し、売上も前作には程遠い結果になってしまったが、コレは本人たちによる「アンダーグラウンドへの回帰」をテーマに沿って制作されたためである。

その結果、暗い雰囲気や内面に向かう力強さが強調され、鋭利なサウンドで切りつけるかのような、非常に攻撃的な作品に仕上がっている。Bleachほどではないだろうが、NIRVANAの核心に近いサウンドが聴ける作品だと思う。

ローファイじみたギターノイズがこれでもかと押し寄せる様や、心臓をえぐるかのような迫力のあるドラミングとベース音のインパクトが凄まじい。

気だるく歌いながらも時に咆哮するヴォーカルのカッコ良さは言わずもがなだが、情緒不安定さに拍車をかけ突進してくるサウンドの威圧感は、本作ならではといえるだろう。

このような作風なので前作が気に入っていたファンには敬遠されることになってしまったが、彼らにとってはこれでいいのだろう。個人的にも聴いていて感情を揺さぶられ、興奮するのはやはり本作。

トラックリスト

  1. Serve The Servants
  2. Scentless Apprentice
  3. Heart-Shaped Box
  4. Rape Me
  5. Frances Farmer Will Have Her Revenge On Seattle
  6. Dumb
  1. Very Ape
  2. Milk It
  3. Pennyroyal Tea
  4. Radio Friendly Unit Shifter
  5. Tourette’s
  6. All Apologies

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