90年代クラブミュージックの代表格
ノエル・ギャラガーがヴォーカルで参加した#5「Setting Sun」や、シングルカットされた#1「Block Rockin’ Beats」の大ヒットにより注目を集めた彼ら。
今思えば、ロックミュージシャンがクラブ系の音楽にゲスト参加したという事実こそが、注目された大きな要因ではないかと思う。これによってロックファンがテクノ・クラブミュージックに関心を示すきっかけが生まれ、ケミカルブラザーズは「ビッグビート」なる新たなクラブミュージックを開拓。本作はその「ビッグビート」サウンドを世に知らしめた、ケミカル・ブラザーズの出世作である。
従来のクラブミュージックを遥かに上回る重量感と音圧で、ひたすら聴き手の鼓膜を圧倒し、部屋を無理やりライブステージに変えてしまいそうなほどの力強さを持つ。
ロックの熱気とクラブの躍動感を組み合わせたサウンドがフィーチャーされた彼らだが、当時としては”在りそうで無かった”音楽だったのだと思う。まさしく時代が求めていたサウンドだったのだと言える。
#1「Block Rockin’ Beats」から始まる最初の三曲での滑っていくようなスピード感は、そのカッコよさに箔をつけている。身体をぶつけあうほどの勢いで序盤を通り過ぎた後に#5「Setting Sun」へとなだれ込んでいく様は、本作の最大の見せ場といえる。
同時期にブレイクしたプロディジーの活躍も手伝って、ビッグビートやデジタルロックはたちまち時代を先導する音楽となった。おびただしい熱気を感じながらも、ひたすらクールな電子音と生音との融合により、思わず「カッコ良い…」という声が漏れてしまう。プロディジーの「The Fat of the Land」とともに、90年代のクラブシーンを語る上で欠かせない名作。
トラックリスト
- Block Rockin’ Beats
- Dig Your Own Hole
- Elektrobank
- Piku
- Setting Sun
- It Doesn’t Matter
- Don’t Stop The Rock
- Get Up On It Like This
- Lost In The K Hole
- Where Do I Begin
- The Private Psychedelic Reel
※赤マーカは、おすすめ曲
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