イギリスのロックバンド、ディレイズの2ndアルバム。
日本国内では知名度は決して高くないバンドだが、日本人好みのメロディセンスを持ったロックバンドだと個人的には思っているので、ぜひ多くの方に聴いてもらいたいため紹介したい。
女性の歌声にしか聞こえないヴォーカル
ディレイズのフロントマンはグレッグ・ギルバードと言い、彼の中性的な美声を中心に楽曲を先導していくのが特徴的なバンドである。
女性の様な気品漂うハイトーンヴォイスからしゃがれ声のシャウトまで、一歩間違えればサウンドの和を乱しかねない危うさを持つ雰囲気も含め、とても印象的なヴォーカルだ。
正直、聞き初めのときは、女性の歌声にしか聞こえないと思う。
力強く、そして彩り豊かに
そんなヴォーカルが印象的なバンドだが、前作(1st)では牧歌的な雰囲気を漂わせた雰囲気から一変。
本作では音の力強さとグルーヴ感が大幅に増強されており、バンドの印象が変わるほどの進化を遂げた作品となっている。
#2「Valentine」を聴けばその変貌ぶりはよくわかることだろう。この曲は今やディレイズの代表曲となっている。
インパクトの増したギターサウンドと電子音との重なりが強調され、より色彩豊かでポップになり聴きやすくなった。そこにグレッグ・ギルバードのヴォーカルが加わり、とても親しみやすい作品となっている。
とても艶やかで色彩豊か、それでいて高いグルーヴ感も持ち合わせ、それらはバンドのスケールアップを大きく物語っている。それを象徴るするヒット曲の#2「Valentine」は、ブリブリと鳴るベース音と、立ち昇っていくような高揚感が気持ちいい、文句なしの名曲。
確かに、グレッグのヴォーカルがフィーチャーされがちなバンドではある。しかし本作では、骨太でありながら丁寧に作られたサウンドや、艶やかなシンセの音が強調され、バンドの一体感を感じとれたのがとても良かった。他のバンドを差し置いて、群を抜くポップセンスも見事。
果たして今回のグルーヴ感の強いサウンドを軸にしていくのか、ただの通過点にしていくのか、今後の動向が注目されるところ。
今後の作品のリリースも期待したい。
(2023.7.16追記)
ヴォーカルのグレッグが2021年10月5日に亡くなったというニュースを目にした。
英インディ・ロック・バンド、ディレイズ(Delays)のフロントマンで、詩人/ヴィジュアル・アーティストでもあったグレッグ・ギルバート(Greg Gilbert)が9月30日、44歳で亡くなりました。グレッグは、2016年に大腸ガンと診断されており、弟でバンド・メンバーのアーロン・ギルバートが訃報を伝えています。
https://www.musiclifeclub.com/news/20211005_08.html
2010年のアルバムリリースを最後に新作が出ていなかったので気になっていたところだった。どうやら2016年に大腸がんを患い、長く闘病していたらしい。
グレッグ・ギルバードのご冥福をお祈りします。
トラックリスト
- You and Me
- Valentine
- This Towns Religion
- Sink Like a Stone
- Too Much in Your Life
- Winters Memory of Summer
- Given Time
- Hideaway
- Lillian
- Out of Nowhere
- Waste of Space
- Someday Soon You’re Gonna Happen
※赤マーカは、おすすめ曲
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