「Newave」(2002) / Coaltar of the Deepers

レビュー

穏やかに続いていく航海

COTDの5thアルバム。本作は94年の1st以来となるメジャーリリース作品(エイベックス)。前作は非常にポップでデスな作品となり、彼らの魅力が凝縮されたような素晴らしい作品であった。そんな前作を踏まえて新たなディーパーズを打ち出したと言えるのがこの作品。「Come Over to~」以降、短いスパンで作品をリリースしてきたバンドは、本作で新たな方向性を見出した。

まずヴォーカルとして参加していたICHIMAKIが、前作を最後に脱退。それがバンドの方向性に影響を与えたわけではないと思うが、過去の作品と比べると非常に暗くておとなしい作風となっている。本作に収録されているどの楽曲も、言うならば海で大きく形をかえる”波”のよう。寄せては返す静と動の波が、アルバムを通して印象的で、まさに潮の満ち引きのように滑らかで荒々しい。寂しく鳴り響く轟音ノイズと、空気のように通り抜けるシンセの音を主体に、非常に穏やかなサウンドが海上のうねりを表現している。

その元気の無さと、波のうねりのような轟音ギターの絡みは、まさに一般的なシューゲイザーのそれである、と個人的に思っている。飛びぬけた名曲こそ無いものの、それぞれがこのアルバムを支え、作り上げており、バンドの作品の中でもずば抜けた統一感を放っているアルバムであると言える。とはいうものの、サンバのリズムと音色によるハイテンションな曲調の⑩をラストに持ってくるなど、相変わらずひねくれているバンドである。

トラックリスト

  1. Downfall
  2. Hyper Velocity
  3. Without Hesitation Into Door Away
  4. The Smooth
  5. Prophet Proved
  1. Newave (featuring les yeux)
  2. The Proof
  3. Snow Again
  4. Entreaty
  5. Sweet Voyage

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