「A Strangely Isolated Place」(2003) / Ulrich Schnauss

レビュー

Ulrich Schnaussの2ndアルバム。宅録によって生み出された、テクノ・エレクトロニカサウンドの作品で、エレクトロ・シューゲイザーと呼ばれる音楽の代表的アルバム。自然の中を吹き抜けるような清々しさと心地良さ、ふわふわしたメロディはまさにスロウダイブのそれであり、アンビエントの魅力も大いに詰まった一枚だ。

静寂を彩るように、優しくふわふわとしたメロディが頭の中に溢れていく、アンビエント調のサウンドが最大の特徴。打ち込みによるメロディのおかげで音が非常にクリアであるため、耽美な雰囲気が良く引き立っている。ずっとこの心地よさに漬かっていたいと思わせるサウンド…、これこそがドリームポップ・シューゲイザーからの影響なのだろうか。大半の曲の中盤では、音の重ね掛けが増えて音のうねりが激しくなり、心地よさが増幅していく。おまけに耳を劈くメロディも顕在であり、まるで空を仰いでいるような気分にもなってくる。代表曲②のシンプルな構造の曲では、心地よいメロディとその周りのうねるノイズから、エレクトロニカとシューゲイザー双方の魅力を分かり易く堪能できる。

この作品を聴き始めた当初は、シューゲイザーと言うよりは、エレクトロニカに意識がいっていたため、その印象がとても強かった。実際それは間違いではないと思うが、やはり本作にはシューゲイザーがしっかり息づいていた。あちこちから主張してくる的確なノイズと響き渡るサウンドが聴こえてくるあたりがそれをしっかり匂わせる。エレクトロニカの本質はよくわからないが、個人的にはこのような作品がエレクトロニカのスタンダートだと思っていただけに、今後はこういったサウンドがエレクトロ界を席巻していくかも、なんて予感が渦巻いている。

トラックリスト

  1. Gone Forever
  2. On My Own
  3. Letter from Home
  4. Monday – Paracetamol
  1. Clear Day
  2. Blumenthal
  3. In All the Wrong Places
  4. Strangely Isolated Place

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