「スリーアウトチェンジ」(1998) / SUPERCAR

レビュー

90年代後半にリリースされたSUPERCARの1stアルバム。

19曲も収録された、初期衝動に満ちた意欲作。荒削りながらも疾走感とメロディが映える本作は、良い意味で青さに満ちている。

初期スーパーカーによる轟音ギターロック

後期のアルバムと比較するとあまりのギターロックぶりに驚かれるかもしれないが、他のロックバンドとは一線を画す彼らの魅力が、ギターロックという形でシンプルに表現された初期の名作である。小難しい音楽ではないため、初めてスーパーカーを聴くという方にはオススメしたい。

厚みのあるギターの爆音は、もはや音割れせんばかりに轟いており、本作の最大の特徴となっている。ノイズも混じり、粗さも目立つが、それが初期の趣を漂わせる。そんな分厚いサウンドをバックに青臭さを感じさせるメロディと男女二人の歌声が重なり、「未熟ながらも生命力にあふれた青春時代」とも言うべきサウンドが出来上がっている。

中でもフルカワミキの歌声は心をくすぐられるような感じを覚え、彼女がメインヴォーカルをとる曲で特に青さが際立っているような気がする。

全体的に高水準の曲で溢れ、逆に言えば際立った曲が少ないのだが、個人的なお気に入りは音の厚みとスピード感が圧倒的な#11「My Way」。後半のドラミングやギターリフなどが素晴らしく、本作で一番かっこいい曲ではなかろうか。

このような火花散るギターロックの曲が大半を占める中、フルカワミキの歌声をメインで堪能できるアコースティックな#4「DRIVE」#8「Lucky」は、そろって人気が高い。

癖のあるヴォーカルや厚すぎるギターは、思い切りが良すぎるため、すべてのロックファンに支持されるようなシロモノではないかもしれないが、若さゆえの魅力をこれほど出しきった作品もなかなか無いと思う。轟音の波に飲まれるように聴きたい、邦楽ギターロックの名作。

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