「Love」(1997) / 河村隆一

レビュー

名曲の宝庫

個人的にこのアルバムは、J-POP関連の作品では五本の指に入るほどのお気に入りである。音楽にハマり始めた学生時代に聴いたのも大きいが、やはりどの曲も単純に良い曲ばかりでとても気持ちいい。

個人的に河村隆一の歌声というのは、ポップスで本来の魅力が発揮されるように思う。当然LUNA SEA時の棘のある歌いまわしも好きだけど、本作の優れた楽曲を聴いていると、どうしてもそう感じずにはいられない。

97年にLUNA SEAの活動が一旦休止し、個々がソロ活動をする中、最も大衆に支持されたのは言うまでもなく河村隆一のソロ活動だった。ソロシンガー河村隆一の、ナルシスティックなラブソングが詰め込まれた作品となり、お茶の間にその名を知らしめた。

シングル#6「BEAT」や、#11「Grass」などのシングルを筆頭に名曲のオンパレードである本作は、270万枚の大ヒットとなり、これは男性ソロシンガーのリリースした作品では歴代一位の売上記録である。

軽快で風通しの良いポップス集で、ラブソング以外にも、季節感の強いものや社会の憂いを歌ったものまで様々な楽曲が存在する。

中でも、冒頭の波のせせらぎからアコースティックギターへと遷移する#1「I Love You」は特にお気に入り。様々な情景が浮かび上がらせる、壮大かつ素晴らしい楽曲である。

もう一つ爽やかで好きなのが#6「BEAT」で、こちらはどの楽曲よりも聴きやすく、幸福感に包まれた名曲。

さわやかな楽曲が多い一方で、ダークな雰囲気をまとっている曲も印象的。中でも#9「Evolution」は、社会ヘ向けてのメッセージを含んだ憂いの強い楽曲だが、アルバムの中でとても良いアクセントになっていると思う。

大ヒット曲#11「Glass」での河村隆一のハイトーンのサビは、非常にインパクトがあり、ソロの楽曲の中では今もなお印象的な一曲である。

などなど個々の楽曲を上げていくとキリがないが、ソロ活動を通じてヴォーカリストとしての実力を存分に知らしめた名作である。再始動後や終幕後もコンスタントに作品をリリースしており、ソロのファンはとても多いように思う。

ヴィジュアル系バンドのフロントマンのRYUICHIと、コンサートホールで正装で歌っている河村隆一。ファンは違えど、どちらも彼らしさが発揮されていてとても魅力的だ。

個人的にはバンドとソロを非常に上手く使い分けているという印象で、どちらの彼の活動も応援していきたい。どちらにせよ、彼の歌声は大好きなので、一回はライブなりコンサートなりでじっくり聴いてみたいものである。

トラックリスト

  1. I love you(Album mix)
  2. 好き
  3. 涙色
  4. Birthday
  5. Love song
  6. BEAT
  7. 蝶々
  8. Love
  1. Evolution
  2. 小さな星
  3. Glass(Album mix)
  4. でも淋しい夜は…(Live)
  5. SE,TSU,NA,(Another mix)
  6. Love is…(Album mix)
  7. Christmas
  8. Hope

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