「Finally We are No One」(2002) / mum

レビュー

森の音楽隊

Mumの2ndアルバム。今回は、同郷のシガーロスが在籍していたことでも知られるFat Catからのリリース。彼らの作風についてだが、絵本のようなジャケットが分かりやすく示している。…まるでおとぎ話の一端を表現したようなその世界観。ライブを見るとわかるが、彼らはチェロやアコーディオンといった、まるで楽団のような形体で演奏を繰り広げており、その存在そのものがそのままサウンドに現れていると言ってもいいだろう。本作は言うなれば、森の中の小人の音楽隊が創り上げた、とても穏やかで可愛らしい物語。

電子音の浮遊感もさることながら、アコーディオン、管楽器などの生楽器を巧みに取り入れ、暖かみのある音を構築しているのが特徴。他にも、グラスを爪で叩いた音色や、震えるような細かいノイズなど、可愛らしい音色がサウンドの至る所からひょっこりと顔をのぞかせる。こういう細かい音色が耳をくすぐるのがたまらない。極めつけは幼女のような双子姉妹の歌声で、これがまた可愛らしさを際立たせる。

北欧の情景を思い浮かばせるゆったりとした音楽性は、同郷のシガーロスに近い部分があり、好きな人はきっとハマると思う。ただし、暖かい雰囲気を押し出している辺りに、シガーロスとの違いを感じさせる。一音一音を大切に紡ぎ出す彼らのサウンドは”暖かい””可愛らしい”といった言葉に尽きる。聞く度に優しい気持ちになり、心が落ち着く名作。

トラックリスト

  1. Sleep/Swim
  2. Green Grass Of Tunnel
  3. We Have a Map of the Piano
  4. Don’t Be Afraid, You Have Just Got Your Eyes Closed
  5. Behind Two Hills.A Swimmingpool
  6. K/Half Noise
  1. Now There’s That Fear Again
  2. Farawat Swimmingpool
  3. I Can’t Feel My Hand Anymore, It’s Alright, Sleep Tight
  4. Finally We Are No One
  5. The Land Between Solar Systems

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