「Eleven Fire Crackers」(2006) / ELLEGARDEN

レビュー

火花飛び散るギターロック

Ellegardenの5thアルバム。シングル③⑧のロングヒットにより、ますますバンドは人気と知名度を上げることとなった。本作は、その右肩上がりの勢いを解き放ったような作品となっている。今回のサウンドは今まで以上に激しく火花が散っており、まるでバンドのモチベーションをそのままサウンドで表現したかのようである。一瞬でリスナーを引き込む即効性は相変わらずで、それに加えて今回はサビでの爆発の威力が増し、ひねくれの無いストレートなロックを存分に味わうことが出来る。

骨太で力強いサウンドがとてもカッコよく、過去の作品と比べるとずば抜けている感じさえある。もはや初期の青春パンクの面影は無い。脳にズカズカと響くドラムの音に、纏わりつくものをはじき飛ばすように勢いのある轟音サウンド。特に火薬が爆発したように派手なサビは圧巻で、火花の飛び散りが目に見えるかのようである。中でも⑥は、激しいドラミングと轟音ギターで畳み掛ける、とてもシンプルだが本作の音楽性をよく表している素晴らしい楽曲。このようにサウンドの威力が増したとしても、細美のヴォーカルは決して無理がないため、それがまた冷静でカッコよく聴こえるのである。④のサビに至っては囁いていると言ってもいい。他にも、⑧がアルバムの曲調に合わせて芯の太いサウンドに作り変えられているのも良かった。

既存のリスナーにとって本作は賛否両論のようだが、新規のリスナーにとってはロックのダイナミズムとポップでキャッチーな音楽性が絡まった本作の音楽性には、単純ながら納得できるのではないだろうか。個人的には、彼らの魅力でもあるサウンドの爆発力は、ココで極まったような気がしてならない。

トラックリスト

  1. Opening
  2. Fire Cracker
  3. Space Sonic
  4. Acropolis
  5. Winter
  6. Gunpowder Valentine
  1. アッシュ
  2. Salamander
  3. 高架線
  4. Alternative Plans
  5. Marie

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