既に創りあげられていたJanne Da Arcの音楽
デビュー当時”ヴィジュアル系の最終兵器”なんて触れ込みがあったという彼ら。その触れ込みに違わぬ猛進ぶりで、あっという間にロックシーンを席巻し、圧倒的な人気を確立したのは御存知の通り。驚くべきは、そのハイクオリティな演奏、エロティックな世界観が、本作「D.N.A」の時点でほぼ完成されていたと言うことである。
Janne Da Arcは、メタルをベースにした、重たくてスピーディな演奏が印象的だが、とにかくキャッチーなメロディを作るセンスがずば抜けていて、一発でリスナーの心を鷲掴みにする。どれも非常に聴きやすいのである。yasuの作曲センスもあるだろうが、このバンドはkiyoのキーボードによる貢献が強いと思っている。特に後期のキャッチーさを意識した楽曲においては特に重要なポジションを担っている。
とはいえ、本作はメタルの力強さやと怪しげな世界観の構築に比重がかかっており、デビュー当時の尖った部分が出ている作品。特に冒頭の三曲は、ロックバンドとしての魅力を印象付ける、素晴らしい幕開けを作り上げている。#5「child vision~絵本の中の綺麗な魔女」は虐待されている赤子目線の歌詞が強烈で、本作においても特におどろおどろしい曲。#7「桜」は、常にJanne Da Arcの人気曲であり続けた名曲。そして、デビュー曲#10「RED ZONE」は、LUNA SEAのデビュー曲「BELIEVE」を彷彿とさせるインパクトの強さをもっている。
一方で、ラストの#12「Heaven’s Place」のバラードがまた感動的で、幸福感に包まれたこの雰囲気は、このアルバムでは浮いているほどである。
本作以降も安定して素晴らしい曲を作り続け、チャートに上位に食い込むほど大衆にも指示を得たJanne Da Arc。その礎は、本作で既に出来上がってしまったと言っても過言ではない。怪しさと激しさを伴いながらも、V系初期のきな臭さをあまり感じさせない、Janne Da Arcを初めて聴く方にもおすすめできる彼らの代表作である。
トラックリスト
- Deja-vu
- Vanity
- ファントム
- EDEN ~君がいない~
- child vision ~絵本の中の綺麗な魔女~
- Stranger
- 桜
- Lunatic Gate
- Junky Walker
- RED ZONE (Album Mix)
- ring
- Heaven’s Place
※赤マーカーはおすすめ曲
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