「Blue Wonder Power Milk」(1998) / Hooverphonic

レビュー

冷めたかっこよさ、荘厳さを感じさせるエレクトロユニットの傑作

ベルギーのエレクトロユニット、Hooverphonicの2ndアルバム。90年代に登場したトリップホップと呼ばれるジャンルにくくられることも多いバンドで、同ジャンルの先駆者としてMassive Attack、Portisheadが挙げられる事がある。(ただし両バンドともこのジャンルのカテゴライズに懐疑的)

Hooverphonicは、女性ヴォーカリストと二人の男性ミュージシャンによる3人組。活動初期は女性ヴォーカリストの入れ替わりが多く、2作目の本作でマイクを取るGeike Arnaertは4人目にあたる。

サウンドの特徴と言えば、陰鬱でけだるい雰囲気と、溜息をつくように歌うヴォーカルスタイル。これらが何とも心地よく、奏でられるメロディは冷ややかで繊細。また、所々でビートを意識した楽曲もあり、力強さも感じられるのも魅力。特に#1「Battersea」はそれら魅力が凝縮したような楽曲で、本作のリードトラックと言える。

冷めたかっこよさと、余計な力が抜けた楽曲群、荘厳ささえ湛えたサウンドは、個人的に大好きな部分が凝縮されており(笑)、特に本作は永く愛聴している作品の一つである。捨て曲がなく、聴くごとに深みを感じさせる、非常に味わい深い作品である。

個人的にエレクトロユニットの理想としているサウンドをこのバンドがほぼ体現してしまった気さえある。そう感じるほど本作は素晴らしい。日本国内で知名度が全く無いのが残念でならない。

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