「Untouched」(1993) / Secret Shine

レビュー

シューゲイザーの伝道師

COTDのNARASAKIがインタビューで、最もシューゲイザーしているバンドとしてシークレット・シャインの名を上げて絶賛しているのを見たことがある。ライドマイブラほどのブレイクをしたとは言いがたいが、間違いなくムーブメントの一角を担ったバンドで、ジャンルの音をものの見事に体現している。

ブームの流れを受けながら1991年より活動を始めた彼ら。デビュー作『Untouched』が発表されたのは1993年で、ネオアコレーベルと言われるサラレコードからリリースされている。

空間系のエフェクトをふんだんに用いたサウンドメイクにより、ドリーミーかつ荒々しい音を作り上げており、まるで霊峰から響いてくる音色のように神々しくもある。そんなSecret Shineの音は、どのバンドよりもシューゲイザーの世界観やサウンド、イメージを体現しているのではないだろうか。

重層かつまろやかなギターノイズのアンサンブルは本当にうっとりするほど心地よく、そこに折り重なる男女混声の歌声・コーラスが、霊峰にこだまするように儚げに響き渡っている。

ライドのような焦燥感を持ちながらも、夢幻的な空間も重視したシークレット・シャインは、ジャンルを象徴するサウンドを披露していることもあり、初めてシューゲイザーに触れる方にもお勧めしたい名作である。

長年廃盤となっていた本作だが、2015年についに再発された。当時のシューゲイザーの名作が続々と再発されていく中、本作の再発は”待ちに待った”といった感じで、ファンにとってはとても喜ばしい。

2008年には14年ぶりとなる2ndアルバムをリリースし、以降はコンスタントに作品をリリースしそうな勢いを見せており、シューゲイザー再評価の動きをとても良く感じさせるバンドである。今後もシューゲイザーの伝道師として益々の活躍を期待したいところである。

トラックリスト

  1. Suck Me Down
  2. Temporal
  3. Spellbound
  4. So Close I Come
  1. Into the Ether
  2. Toward the Sky
  3. Underworld
  4. Sun Warmed Water

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