「The Lost Lolli」(2004) / OLIVIA

レビュー

女性シンガーOLIVIAによる2ndアルバム。アイドルユニットD&Dを経て、2000年にソロデビューを果たしたアーティスト。

世界観の構築に比重が置かれた、ゴシックでスリリングな作品

1stアルバム「Synchronicity」では、今までのアイドルの経歴からはとても考えられない程のパンキッシュなサウンドを披露し度肝を抜いた。彼女が内に秘めていたロック志向を全面に出した作品と言ってもいいだろう。更に驚くべきはその歌唱力。透明感がありながら伸びが良く、時にシャウトするなど、近年の歌手の中でもトップクラスの歌声を持っている…と、個人的に思う。英詩が中心ということもあり、洋風な雰囲気も漂うアーティストである。

そんな彼女の2ndアルバムとなったのが本作「The Lost Lolli」。様々な曲調の楽曲が収録されているが、ジャケットからも伝わる通り、作品を通してゴシックな雰囲気が強調されている。キャッチーさは薄れたが、自らが追求する世界観を構築しようとしているのが伝わってくる。

スペーシーで荘厳な#1「Alone in Our Castle」や#6「Space Halo」、それに対してパンキッシュでスリリングな#2「Fake Flowers」や#7「Spiderspins」といった両極端な音楽性。その両極端な音楽を本作では見事に溶けこませ、世界観の一部としている。他にも地を這うような#5「Celestial Delinquent」、ラップがフィーチャーされた#8「026unconscious333」など様々な顔を見せてくれる楽曲から、とても意欲的な作品であることが伝わってくる。

窓口は狭くとも、一度入ってしまえば、とても広い世界観が待っている素晴らしいロックアルバム。そんな音楽を作り上げたOLIVIAのセンス、歌唱力にはもう脱帽である。これほどの作品を作ったというのに、大きく取り上げられないのが不思議でならない。

トラックリスト

  1. Alone in Our Castle
  2. Fake Flowers
  3. Blind Unicorn
  4. Devil’s in Me
  5. Celestial Delinquent
  6. Space Halo
  7. Spiderspins(Lost Lolli Mix)
  1. 026unconscious333
  2. Under Your Waves
  3. Dreamcamp
  4. Denial
  5. Sea Me (English Version)
  6. Into the Stars (Live Arrangement Version)

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