1.23 Jewels
2.Venus In Cancer
3.Eighty Eight
4.Wiper
5.Vensosa
6.Asphalt
7.Smokescreen
8.The Ramones Book
9.Local Boy Makes God

粒の粗いダイヤの原石

APOFの1stアルバム。今や大所帯のバンドとなったAPOFも、元々はマイケルフィーリックによる単独ユニットとしてスタートした。このデビューアルバム制作も、彼一人の手によるもの。それだけでも凄いが、彼はこの作品リリース時点で弱冠18歳。すべての楽器を一人で弾きこなしたうえ、培ってきた音楽センスを詰め込んで生まれたこのアルバムに、彼の才能を感じずにはいられない。後の作品と比べると洗練されていない感じはあるが、これからの躍進を大いに期待させる作品となっている。まるでこれから磨かれていくダイヤの原石のように。

上記の逸話だけでも大いに関心を持たされるアルバムだが、驚くべきは、偶発的に轟音シューゲイザーサウンドを作り上げたことではないだろうか。それも、ほぼど真ん中の。・・・聞けばマイケルは、本作リリース当時、マイブラの存在をまだ知らなかったという。しかし本作を聴いた人々が口をそろえて語るのは”マイブラのサウンドを受け継いだようなシューゲイザーアルバム”といった感想。ギターノイズを何層にも重ねて作られた洪水のようなサウンドは、まさしくマイブラ直系である。近年、炭酸が弾けるかのような優しいギターノイズを奏でるシューゲイザーバンドが増える中、際立って迫力のあるギターサウンドを奏でているのがわかる。

静けさ漂うインスト1#「23 Jewels」の後、2#「Venus in Cancer」、3#「Eighty Eight」と轟音を駆使した名曲が続くが、この荒れ狂うギターノイズはまるで台風のようである。特に本作で好きなのは、うごめくような静かなギターサウンドで始まり、徐々にサウンドに厚みが増していく#4「Wiper」。焦らされるかのような展開がたまらない。また8分を超える大曲でもあり、聴き応えは抜群。

マイケルがプログレを好んで聴いていたのが影響しているのかもしれないが、4#「Wiper」に代表されるような起伏ある展開をみせる楽曲が多く、ポストロックに分類されることもある。この物語性のある大曲主義は、轟音ノイズギターサウンドと共に今後の作品にも受け継がれ、このバンドの特徴となっていくのだが、その基盤をこの時点で創り上げたことを評価したい。


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