「We Were Exploding Anyway」(2010) / 65daysofstatic

レビュー

エレクトロ要素が強くなりオリジナリティも生まれた、彼らの進化系

イギリスのインストゥルメンタルロックバンド、65daysofstaticによる4作目のオリジナルアルバム。

ブレイクビーツなどのエレクトロ要素と轟音ギターを用いた音の爆発力、表現力が魅力のバンドで、その音楽性はデビュー時から高い評価を得ていた。潜伏させた力を曲の後半で一気に解放させ、畳み掛けていくその表現法は、Mogwaiから続く轟音ポストロックの系譜である。またバンドは、メディアでしばしば”Mogwai” meets “Aphex Twin”と言われ取り上げられている。

本作は前作から比較すると非常に芯が太くなり、もはやビッグビートを彷彿とさせるパワフルさである。今までの作品はロック主体の、特に轟音ギターに寄ったサウンドで制作されてきたが、本作は電子音(ブレイクビーツ、エレクトロニカ)が全面に出てきてクラブ色がとても強くなった。しかもその力強さは、アルバム全体を通しても息切れすること無く、その力強いブレイクビーツと轟音でひたすら押し進められていく。

本作の音楽性を特に印象づけるのが#2「Crash Tactics」や#5「Weak04」などの、心臓に突き刺さるほどの電子音と力強いビートで攻め立てる曲。ギターなどのロック要素をサポートに回らせるほどの圧倒的な存在感を放ち、もはやジャンルを超越している。他に印象的なのは、心地よい旋律から一気に轟音で畳み掛けるオープニングがかっこいい#4「Piano Fight」。今までの彼らの轟音を受け継いでいる曲と言え、またドラムのパターンも癖になる。個人的に本作のベストトラックである。

前作までの彼らと比較するとこれは明らかな進化と解釈していいだろう。本作によりバンドは一皮むけるほどの成長を遂げ、もはや轟音ポストロック勢の中でも孤高の存在となりつつある。バンドにとって大きな一歩を踏みしめた作品。名作である。

トラックリスト

  1. Mountainhead
  2. Crash Tactics
  3. Dance Dance Dance
  4. Piano Fights
  5. Weak4
  1. Come to Me
  2. Go Complex
  3. Debutante
  4. Tiger Girl
  5. Sawtooth Rising(Bonus Track)

赤マーカーはおすすめ曲

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