「Treasure」(1984) / Cocteau Twins

レビュー

荘厳、耽美と言われる音楽の頂点

Cocteau Twinsの3rdアルバム。デビュー時は重苦しい音楽性を身に纏っていたバンドだったが、前作からその雰囲気を徐々に振りほどき、初期の傑作であるこの作品にてついに解放した。今までになく気持ちよさそうに歌うエリザベスの高らかなヴォーカルと、月夜を映し出すほどに美しいギターサウンドとのハーモニー。荘厳とか、神々しいだとか、耽美な音楽というのはまさにこれを指すのだろう。天上界というものが存在するのなら、おそらくこの作品が作り出した世界かもしれない。それほどに静謐で美しいアルバムである。

個人的にエリザベスの劇的に生まれ変わったヴォーカルと、バンドの目指している耽美な音楽性が、早くも合致した作品だと感じた。このバンドをココまで耽美追求に駆り立てたモノは何なのだろう…。その美しさは、深夜の教会に差し込む月の光のようでもあり、…何度も言うようにとても神秘的で美しい。名曲#2「Lorelei」は囁くヴォーカルと鐘のような音色の綺麗さに思わずうっとりしてしまい、#5「Pandora」は流麗で儚いギターの音色がとても心地良い。深夜に部屋の灯りを消して聴くとすごくハマリそうな気がする。どのサウンドもとにかく美しいが、初期の妖しさが残っているこの雰囲気もまた良しということか。

この作品が今後のコクトーツインズの音楽性を決定付けたと言っても過言ではなく、バンドの代表作の一つともなっている。とにかくサウンドメイクの細かさと世界観、雰囲気がたまらない作品であった。

トラックリスト

  1. Ivo
  2. Lorelei
  3. Beatrix
  4. Persephone
  5. Pandora
  1. Amelia
  2. Aloysius
  3. Cicely
  4. Otterley
  5. Donimo

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