「Technique」(1989) / New Order

レビュー

New Orderの5thアルバム。87年にベストアルバムを発表し、バンドは大きな節目を迎えていた。当時の音楽シーンといえばアシッドハウス、マンチェスタームーブメントが隆盛の時期で、その音楽シーンとの親和性の高さを感じさせた名作。

ニューオーダーで活動を続けるうちに陰鬱なエレクトロポップを突き詰めていくようになったバンドにとって、当時のブームは独自の音楽性と共鳴するところがあったに間違いない。そう感じさせるほど、サウンドが今まで以上に生き生きしている。

この作品がアシッドハウス音楽の聖地、イビザ島で録音されたことは有名で、その影響かハウス色が強く、ダンスミュージックの雰囲気が色濃く出た作品となっている。特に#1「Fine Time」はそれを体現しており、音がスピーカーの左右を激しくピンポンする、非常にダンサブルな一曲。因みにこの曲はシングルカットもされた。

同様の雰囲気を持つ#4「Round & Round」もシングルカットされたということで、そこからもバンドの示したい音楽性を想像することができる。そういった作風が影響してか本作は、以前までの作品ほどはネガティブではいない。

ため息をつくような暗い雰囲気の中をエレクトロビートと女性のコーラスが切り開こうとする#7「Mr. Disco」、シンセの音が儚くも美しい#8「Vanishing Point」は個人的に特にお気に入り。

確かにダウナーな空気を醸し出してはいるものの、どの曲からも明るい兆しを感じさせる。#3「Love Less」#6「Run」に至っては励まされているような気分にさせられるほどである。

#2「All the Way」は疾走するギターサウンドと間奏のシンセの音が印象的な疾走ナンバーで、音のつくりが他の曲とは異質だが、雰囲気はぴったり。


前述の通り本作は、独自のエレクトロポップが一つの臨界点に達し、それをリスナーに確信させた傑作と言えるだろう。

トラックリスト

  1. Fine Time
  2. All the Way
  3. Love Less
  4. Round & Round
  5. Guilty Partner
  1. Run
  2. Mr. Disco
  3. Vanishing Point
  4. Dream Attack

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