「Suede」(1993) / Suede

レビュー

シアトルでグランジ・ロックが隆盛を迎え、ロックが息を吹き返しはじめた90年代初頭。イギリスでも92年にロックの復興を告げるかのように、過激でスキャンダラスなバンドが登場する。それがスウェードである。

衝撃度で言えば彼らの作品の中ではダントツと言える本作。眠りかけていた英国ロックシーンに強烈なインパクトを与えた、90年代の名作。

英国ロックシーンを叩き起こした衝撃的作品

禁忌とされていた事柄をふんだんに用いたブレッド・アンダーソンによる過激な歌詞と、気持ち悪いほどねちっこくて中性的な声。”歌うかのよう”と評された、バーナード・バトラーによる華やかなギターサウンド。

ザ・スミスからヒントを得たと思しき音楽性は、退廃的で過激、そしてエロティックで美しい。この異様な世界観は、スウェードたらしめる部分である。このような音楽性でシーンに現れたのだから、当時の衝撃といったら想像に難くない。

本作は、シングルとしてリリースされた#1「So Young」#2「Animal Niterate」#6「The Drowners」の出来と存在感が圧倒的。ブレッドが艶やかにサビを歌い上げる横で、歪んだギターがまるでコーラスのように絡みつくのが心地良い。

一方、繊細な音色で紡がれる#3「She’s Not Dead」#7「Sleeping Pills」#8「Breakdown」といったスローナンバーは、リスナーを眠りに誘うかのような優しさをもち、リスナーに小休止を促す。禍々しさの強い本作において、本作がここまで支持されているのは、相反するこのような楽曲が間にはまされているからだと感じた。

2001年の解散までに5枚のアルバムを世に送り出したが、本作が最もスウェードの音楽性を表しているのは間違いない。

ちなみに、サウンドの核を担っていたバーナード・バトラーは、次作「Dog Man Star」の制作を最後にバンドを脱退。未だにバーナード・バトラーが在籍していた時こそが真のスウェードだ、という声は根強く、私もその一人だったりする。もちろん3rd以降の作品も素晴らしいのだが、やはりスウェードの音といったら、本作か2nd「Dog Man Star」である。

トラックリスト

  1. So Young
  2. Animal Nitrate
  3. She’s Not Dead
  4. Moving
  5. Pantomime Horse
  6. The Drowners
  1. Sleeping Pills
  2. Breakdown
  3. Metal Mickey
  4. Animal Lover
  5. The Next Life

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