「Soup」(1998) / Bola

レビュー
1.Glink
2.Versivo
3.W.I.K
4.Forcasa 1
5.Forcasa 2
6.Forcasa 3
7.Pendulus
8.Amnion
9.Aguilla
10.Whoblo

深海を漂うが如くの、緊張感あふれる名作

Bolaの1stアルバム。近年ようやく再発されたが、それまでは幻の名盤と言われていたエレクトロニカ・アンビエントの名作。Bolaは、陽が差し込まない深海を、神秘的な電子音で表現しているようなアーティストで、以降もそのスタイルを貫いている。

フワフワと漂うシンセが、深海の静寂な空間を壊さぬよう努め、それが緊迫感を演出する。エレクトロニカと言えば、こういうサウンドが想像するのではないだろうか。生楽器を一切取り入れず、優しい電子音の組み合わせのみ。それにより非現実的な世界観が構築され、聴き手の想像力をかき立てていくのである。Bolaは、深海や宇宙など、暗闇が延々と広がる世界観に重きを置き、これ以上ないほどに冷たく妖しい雰囲気を作り上げている。そこで生まれた空虚な空間で、取り残されたかのような孤独感。それを強く感じさせる作品となっている。

どの曲も雰囲気はさほど変わらないが、世界観そのものや空間作り、ノイズを混ぜるなどの細かい音の使い方に、革新的な部分を感じさせる。そのため、以降のエレクトロニカ奏者が影響を受けた、と言うのも頷ける内容となっている。本作のサウンドも、今となれば当たり前のものとなったのかもしれないが、この作品が貢献した部分は多いはず。98年、エレクトロニカブーム黎明期に誕生した、エレクトロ・アンビエントの教科書とも言える作品。

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