「So Tonight That I Might See」(1993) / Mazzy Star

レビュー
1.Fade into You
2.Bells Ring
3.Mary of Silence
4.Five String Serenade
5.Blue Light
6.She’s My Baby
7.Unreflected
8.Wasted
9.Into Dust
10.So Tonight That I Might See

限られたサウンドで創られた、静謐で暗い世界

Mazzy Starの2ndアルバム。大ヒットしたシングル①が収録されていることでも知られる作品で、他にもシングル⑥や、アコースティックな音色がとても儚く美しい⑨など名曲多し。前作同様、暗い部屋で静かに鳴り響くような静謐さは健在で、それがバンドの湿った雰囲気を際立たせる。

マジースターは、アコースティックギターとホープのヴォーカルを主軸とした楽曲がほとんどで、そこからは毒々しくも美しい匂いが立ち込める。その雰囲気を決定的に印象付けるのが、ホープの纏わりつくように鳴り響く気だるいヴォーカル。非常に冷めた歌い方をしているが、同時に高貴な美しさを併せ持っており、まるで棘を隠した花のように危険な空気を醸し出す。お淑やかで和やかなこの作品は、ゆる~い雰囲気と高貴さが兼ね備わっている。さらに、アコギと対称的とも言えるギターノイズも随所に見られ、⑥ではバックに漂う無機質なノイズが霧のように辺りを包み込んでいる。

①は、ギターとピアノの旋律にヴォーカルが合わさった、バンドの方向性をわかりやすく伝えた名曲。ファンならずとも必聴だろう。そして、短音のギターの音色をバックに淡々と紡ぐように歌う⑨は、この作品の中でも最も美しい曲ではないだろうか。心地よいフレーズを何度も反復させるこの曲は、聴いていると時が経つのを忘れてしまいそう・・・。本作は、部屋を薄暗くして周りの雑音を消し、深夜にしっとりと垂れ流すようにして聴きたい。

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