「Pet Sounds」(1966) / The Beach Boys

レビュー
1.Wouldn’t It Be Nice
2.You Still Believe in Me
3.That’s Not Me
4.Don’t Talk (Put Your Head on My Shoulder)
5.I’m Waiting for the Day
6.Let’s Go Away for Awhile
7.Sloop John B
8.God Only Knows
9.I Know There’s an Answer
10.Here Today
11.I Just Wasn’t Made for These Times
12.Pet Sounds
13.Caroline, No

何と言われようと名作

本作がリリースされてもうすぐで50年。今なお語り継がれているビーチボーイズの代表作「Pet Sounds」。ロックの名盤としてもおなじみなので、ロックファンはご存知のことだろう。ただ、数多くのロックの名盤の中でも、とりわけ理解されにくい作品という印象もある。

そもそも、ビートルズの「ラバー・ソウル」にブライアンが対抗心を燃やして作られたという経緯があり、今までの作品とは音楽性が異なる本作。今までが波と戯れている作品とするならば、本作は海岸から海を眺めているような、内省的な雰囲気を醸し出している。そのため、実際リリース当時も酷評が多かったという。そこから長い歳月をかけ評価されていき、現在の”ロックの名盤”という位置にまで辿り着いた。

また本作は”最も美しいロックアルバム”とも言われる。思うに彼らのサウンドは、とても純心さを感じさせるのだと思う。暖かくて幸福感に満ちたサウンドは、我々の心を洗うかのようだ。もっと言えば、後のポップミュージック、サイケデリック・ロック、ドリームポップなどのすべての基板は、この作品で出来上がったといってもいいかもしれない。コーラスワークによって作られた、輪郭が曖昧な世界観。そして爪弾くギターの一音一音はキラキラしていて、水面に反射した光の輝きのようである。このような浮遊感のある空間を作り上げたビーチボーイズのサウンドは、身を委ねたくなるほどに心地よい。リリースされた時代から鑑みれば、そんな美しい音で組み立てられた本作の凄さは、何となく伝わると思う。

とは言え、発売当時から現在に至るまで、人によっては評価がとても別れる作品であるのも前述のとおり。本作がリリースされる以前のファンからはその音楽性の変化で敬遠され、後追いのロックファンからは理解され難いという理由で避けられることも多い。個人的には、煌めくようなバンドアンサンブルと、ブライアン・ウィルソンのセンス良さに唸ったものである。

英国のビートルズと切磋琢磨しながら時代を先導したバンドであり、今活躍するバンドのルーツを辿れば、ビートルズかビーチ・ボイーズにたどり着くのではないだろうか。ビートルズがロックサイドのルーツならば、ビーチ・ボーイズはポップサイドのルーツ。特に本作は、ポップの基板を作り上げたビーチボーイズが生み出した最高傑作。もっと言えば、ブライアン・ウィルソンの完璧主義と才能を最も感じさせる作品。

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