「Mercy Street」(1997) / A Reminiscent Drive

レビュー

強いトリップ感を持つ、アンビエントの快作

知名度はあまりないと思われるが、#1「Life Is Beautiful」のあまりの良さに惚れ込んで手に取った本作。ジャケット写真のような景色をボーッと見つめながら空想に浸ることができる#1は、アンビエントのお手本とも言える素晴らしい曲。

自身が景色に溶け込んでいくようでもあり、現実逃避の妄想の中をさまよっている様でもある。これほどの強いトリップ感を味わった作品は久しぶりだった。アルバムの統一された雰囲気も素晴らしく、美しいメロディとゆったりとした雰囲気は、想像力を強く掻き立てられる。

電子音だけではなく、音色の種類も豊富で、曲ごとに個性を持っているのも特徴である。アコギの音色が印象的だったり、ベースをメインに携えて重苦しい雰囲気を醸し出したり、単音のシンセサイザーの音色がどこまでも広がっていったり、アクの強い音色を自由奔放に飛び交わせたり…。なのにアルバムとして統一感バッチリ。粒ぞろいでありながら違和感なく聴き続けられるのは名作の証左である。

個人的にエレクトロ系作品の中では五本の指に入るほどお気に入りの本作。そのためA Reminiscent Driveについてもっと詳しく知りたいのだけれど、調べてわかったのはジェイ・アランスキーというフランス出身のエレクトロ奏者によるプロジェクト、ということぐらいだった。リリースされたのが1997年と20年ほど前というのも驚きだが、本作で使用されている音色や雰囲気は、時代に左右されないものだと思っている。

最近の活動は不明だが、2000年にもアルバム『Ambrosia』を出しているようである。エレクトロニカを愛聴している方には強くオススメできるアーティストである。

トラックリスト

  1. Life Is Beautiful
  2. Leg Show
  3. N.Y.C. Dharma
  4. Serenade (To the Sound of Peace!)
  5. The King and the Elephant
  6. True Love…
  7. Like Twins
  8. Back to Morocco
  1. Mercy Street
  2. Codes of Silence
  3. There’s Always Somebody to Say You’re Wrong!
  4. Footprints
  5. Two Sides to Every Story
  6. New Jerusalem
  7. Dawn Man Introducing I Want to Remember This Moment Always
  8. Relief

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