シューゲイザーの金字塔
My Bloody Valentineの2ndアルバム。彼らがこのアルバムの制作に取り掛かる頃は、後輩バンドによるシューゲイザーブームが過熱していた時で、それを察したケヴィンはそのブームを踏まえつつ「最高のアルバムを作る」と意気込んだ上でアルバムの制作に乗り出したそうだ。そしてこの作品に投じた金額は約20万ポンド、日本円にして約5000万円と言われており、当時所属していたクリエイションレーベルを倒産に追い込んだというのは有名な話である。
今更この作品を語るのも煩わしいのだが、シューゲイザーはここで極まったと言っても過言ではない。浮遊感たっぷりのギターノイズの洪水、閉鎖空間をグルグル回るように何回も繰り返すフレーズ…。ラブレスのサウンドは決まってこんな感じで形容されるが、的を射ているだけに他に例えようがない。そこに重なる涙を誘うような悲観的なメロディがバックの重層なサウンドと溶け込み、心地よさを増幅させていく。これは他のバンドには成しえなかったことであり、マイブラと後継バンドとの違いはココにあるとも言える。このとてつもなくサイケデリックな音空間は、聴くものの神経を夢の中へと誘い、一種の麻薬のように脳内の回路を狂わせる。
発表してから十数年経つものの今もなお輝きを失わない90年代の代表作であるとともに、シューゲイザーの代名詞ともなっているアルバム。ただ、彼らはこの作品で孤高の存在となってしまったため、他のシューゲイザーバンドとは別格と捉えた方が良いだろう。そのため、あまりの完成度の高さに後輩バンドは追いつくことは出来ず、あえなくシューゲイザーブームは終焉を迎えたと言われている。現在も数多くのフォロワーがラブレスの再現を試みているが、誰も追いついてはいない。
トラックリスト
- Only Shallow
- Loomer
- Touched
- To Here Knows When
- When You Sleep
- I Only Said
- Come In Alone
- Sometimes
- Blown A Wish
- What You Want
- Soon
※赤マーカーはおすすめ曲
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