「KASABIAN」(2004) / KASABIAN

レビュー
1.Club Foot
2.Processed Beats
3.Reason Is Treason
4.I.D.
5.Orange
6.L.S.F. (Lost Souls Forever)
7.Running Battle
8.Test Transmission
9.Pinch Roller
10.Cutt Off
11.Butcher Blues
12.Ovary Stripe
13.U Boat

異常な中毒性をもつ、グルーヴ感満載の名作

KASABIANの1stアルバム。キラーチューン「Club Foot」を携え、あっという間にスター街道を上り詰め、その人気を決定的にした名作。その躍進ぶりは多くの方が知るところだが、肝心の音楽の部分については、常套句満載なバンド紹介のせいか、良い印象がなかった。そんなこともあり、彼らの人気を尻目に、個人的に敬遠してしまっていた。しかしいざ本作をじっくり聴いてみると、敬遠していたことを後悔してしまうほど、その完成度は高かった。

その素晴らしさの鍵となるのが、00年代の重要なキーワードともなったグルーヴ感満載のサウンド。マッドチェスターを想い起こさせるそのサウンドは、他のジャンルの音楽も組み込みながら器用に作り上げられている。本作を”04年版「スクリーマデリカ」”と表現する方もいたが、個人的にはモノクロのダンスロックという言葉がしっくりきた。そして脱力感漂うサウンドと繰り返されるフレーズで、聴き手をどんどん曲の中に引きこんでいき、何度もリピートさせる中毒性を与えていく。本作を聴いていると、カサビアンはこの「中毒性」を生み出す技術が非常に長けているように感じる。

#1「Club Foot」から始まり、#3「Reason is Treason」までの軽快な流れに隙がなく、インストを挟んだ後半も、地味ながらひたすらグルーヴ感にあふれた、癖になる楽曲が続いていく。

人気が先行していたということもあり、肝心要のサウンドの魅力が伝わりづらいのが悲しい。個人的にもカサビアンに対する最初の印象はとても地味で、実際に表面的なインパクトは少ない。しかし、随所にみられるフレーズの数々に一つ一つ惹かれていった。まるで聴き手のツボを知り尽くしているかのようなサウンドにはただただ感心させられた。様々なジャンルを違和感なく組み込む器用さとセンスを持ち合わせた、00年代を象徴する名作。

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