「K」(1997) / Kula Shaker

レビュー

サイケデリア文化を忠実に再現したデビュー作

Kula Shakerの1stアルバム。この作品がリリースされた当時の音楽シーンといえば、OasisとBlurによるブリッドポップ戦争がひとまず終結した時期。クーラシェイカーは、この全盛を極めたブリッドポップシーンの後を引き継ぐかのように時を間もなくしてデビューしたバンドである。シングル①④⑨などで人気を集め、そしてこの作品のヒットによってブームを牽引し、瞬く間に時代の寵児となった。

ワウペダルを駆使したサイケデリックなギターワークに、インディア文化を感じさせる妖しげな音色を組み合わせ、かなり独特の雰囲気を醸し出している作品。⑨に至っては、サビでマントラを唱えているくらいだ。他にも、オルガンの音との絡みがドアーズを思い起こさせ、60年代のサイケデリック文化に一気に回帰したようにも感じさせる。クリスピアンの野生的なヴォーカルと、ロックの衝動をそのままザクザク吐き出すギターサウンドが非常にかっこよく、それをどっしりとしたリズム隊が支えているのだからまた素晴らしい。個人的にスーパーグラスに次いで、理想のバンドの形態だと感じた。

しかしながら当時の英国音楽シーンにもしっかり対応し、グルーヴ感満載のポップなナンバーをずらりと持ち込んだ、そのセンスもなかなかのもの。それはおそらく、ストーンローゼズからの影響がしっかりと根付いていたからなのだろう。過去の偉大な音楽シーンやバンドの影響をわかりやすくサウンドに反映したクーラシェイカーは、オアシスとブラーからバトンを受け取るように、デビュー作にして早くもシーンに彩りを加えた。

トラックリスト

  1. Hey Dude
  2. Knight On the Town
  3. Temple of Everlasting Light
  4. Govinda
  5. Smart Dogs
  6. Magic Theatre
  7. Into the Deep
  1. Sleeping Jiva
  2. Tattva
  3. Grateful When You’re Dead
  4. 303
  5. Start All Over
  6. Hollow Man, Pts.1&2

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