「Issues」(1999) / KoRn

レビュー

“ヘヴィロック”…。海外では”ニューメタル”という呼称が一般的のようであるが、90年代後半に一時代を築いたジャンルである。

旧来のメタルとはまた違う、オルタナの流れから派生した音楽で、”音圧”と”重さ”を意識したサウンドが特徴である。その基礎を作ったのは他でもない、KoRnであろう。

原点回帰とキャッチーさを併せ持った名作

KoRnは1st『KoRn』で、ジョナサン・デイヴィスの闇が襲いかかるような衝撃的な音楽性を披露。以後、このダークさこそ彼らの持ち味となるのだが、3rd『Follow the Reader』では、サウンドの力強さやノリの良さ、キャッチーさを前面に出した音楽性で商業的成功を収める。

そんな前作を経てリリースされたのが4th『Issues』なのだが、キーワードとしては「原点回帰」「キャッチー」という言葉が浮かぶ。

彼らの作品を語る際、あまり話題に上がらない本作だが、個人的には本作については”傑作”に挙げてもいいと思える作品である。真っ暗な部屋ですすり泣いているような、絶望的な闇をもった雰囲気は初期の香りを漂わせる。

そして綺麗にまとまった曲構成やサウンドメイクも見事で、KoRnにしてはどの曲も非常に聴きやすい。これは初期のファンと3rdのファンの両方が気にいると思うし、当時のKoRnの集大成とも言える作品となったのではないだろうか。

上記の通り非常に聴きやすい作品なので、癖がなく聴ける曲の数々に良い意味で驚くかもしれない。特に冒頭の#2「Falling Away From Me」#3「Trash」辺りが気に入れば、本作は後半まで一気に楽しめるはずだ。その他、PVが制作された#6「Make Me Bad」#11「Somebody Someone」も必聴。

個人的にKoRnを初めて聴いたのはこの作品で、”ここまで暗くて重い音楽があったのか”と衝撃を受けたのを今でも覚えている。この作品を聴いたおかげでKoRnに興味を持ったし、それどころか洋楽ロックの魅力やカッコよさ、さらに言えば世界の広さなども思い知った気がする。絶望的だが、その世界に浸るのも悪く無いと思える名作。

まずは本作を聴いてもらい、この世界観ががたまらない方は1st『KoRn』、音の迫力に圧倒された方は3rd『Forrow the Reader』と分岐していくのがいいだろう。

トラックリスト

  1. Dead
  2. Falling Away From Me
  3. Trash
  4. 4U
  5. Beg For Me
  6. Make Me Bad
  7. It’s Gonna Go Away
  8. Wake Up
  1. Am I Going Crazy
  2. Hey Daddy
  3. Somebody Someone
  4. No Way
  5. Let’s Get This Party Started
  6. I Wish You Could Be Me
  7. Counting
  8. Dirty

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