「Hybrid Theory」(2000) / LINKIN PARK

レビュー

文句なしにカッコいい激ロックアルバム

ラップ・メタル、ニュー・メタル、ミクスチャーロック…。呼称は様々だが、コーンリンプ・ビズキットに代表されるこれらの音楽は、90年代後期にロックシーンを席巻した。その潮流に上手く乗り、大成功を収めたといえるのが、このリンキン・パークではないだろうか。その人気は一般の音楽ファンをも巻き込み、本作は1500万枚以上もの大ヒットを記録している。

重厚なギターリフによる骨太なサウンドと、チェスター・ベニントンの激情的なヴォーカルが大きな魅力で、サウンドが耳に飛び込んできた瞬間、理屈抜きにカッコいいと思える。それらのサウンドが歌モノとして、コンパクトに纏められたことで、ラウドロック系でありながら非常に聴きやすい楽曲の数々を作り上げており、とてもハイセンスなバンドであると言える。

マイク・シノダによるラップヴォーカル(コーラス)もカッコよく噛み合っていて、ミクスチャーロック、ラップ・メタルの新たな指針と完成形をこの作品で提示したといえる。

何より素晴らしいのは、ヘヴィな楽曲がずら~っと並んでいる作品であるにも関わらず、個々の楽曲に色があり、最後まで一気に聴けてしまえるところ。こういったニュー・メタル系の作品は、リスナーがラウドなサウンドの応酬に辟易しないために、ミドルテンポの楽曲を配置して緩急をつけようとするが、本作はラウドロック一本による筋が通った楽曲構成。むしろ曲が進むにつれて、そのバンドの熱量に興奮し、次へ次へと彼らの楽曲を欲するようになっていく。

LINKIN PARKは作品をリリースするごとに大きく作風を変えていることでも知られているが、それは1stと2ndでこの手のサウンドをやり尽くしたと感じたからだ思われる。

3rdから政治色を強めていき、4thでは打ち込みやサンプリングを用いたシリアスな楽曲が増えていき、初期の面影は殆どなくなった。

しかし、彼らのようにデビュー間もなくして人気や音楽性を確立させたバンドは、”現状維持”でも”変化”でも茨の道となったに違いない。それでも作品をリリースしては評価され、2017年現在も新作をリリースしようとしている彼らは、間違いなく実力者であったと言える。

因みに、洋楽ロックを聴き始めた当時高校1年の自分にとって、彼らの音楽との出会いは衝撃的だった。探し求めていた音楽をついに見つけた!と若いながらに興奮し、しばらくは本作と次作『Meteora』ばかり聴いていた気がする。(今思えば若いときに出会えてよかったとも思う。)

エネルギーに満ち溢れた本作にアドレナリン全快で興奮できる、文句なしにカッコいい激ロックアルバム。そして、00年代を代表する名盤。

トラックリスト

  1. Papercut
  2. One Step Closer
  3. With You
  4. Points of Authority
  5. Crawling
  6. Runaway
  1. By Myself
  2. In the End
  3. A Place for My Head
  4. Forgotten
  5. Cure for the Itch
  6. Pushing Me Away

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