「Happy Songs for Happy People」(2003) / Mogwai

レビュー

ポストロックバンド、Mogwaiの4thアルバム。

静寂な世界観とそれを切り開く轟音サウンドで、強烈な緊張感をそれぞれの曲で作り上げてきた彼ら。今回は過去の作品と比べると、多少抑揚が抑えられているようで、とても穏やかな印象を受ける。

穏やかな海洋を航海するようなアルバム

その点は前作を継承してるのだろうか。いきなり殴りこんでくる轟音に驚かされたりすることなく、とてもスムーズな曲展開がされているといった感じである。

賛美歌に溢れているかのようなタイトルだが、個人的には祝福されている雰囲気は感じ取れず、航海をしている想像ばかりが頭をよぎる。穏やかな水面だけを漂うわけではなく、時に襲ってくる嵐にも立ち向かい、陸地を目指すわけである。そんな想像を膨らますことができるのも、ストーリ性に富んだ楽曲がなせる業であるというのは言うまでも無い。

CGによるPVがとにかく悲しかった#1「Hunted By A Freak」は聴くたびに目頭が熱くなる。エフェクトのかかった声はもはやサウンドの一部分と化している。取り立てて起伏の激しい曲を挙げるならば#4「Killing All The Flies」。後半の大音量のノイズまでの過程の緊張感がたまらない。

前作の影響でピアノなどのクラシカルなサウンドも聴かせており、穏やかさが増し、海面を漂う心地よさがいっそう強く感じ取ることができる。そしてそのとき、タイトルの幸福感の意味を少しだけ理解できたのである。

トラックリスト

  1. Hunted By A Freak
  2. Moses? I Amn’t
  3. Kids Will Be Skeletons
  4. Killing All The Flies
  5. Boring Machines Disturbs Sleep
  1. Ratts Of The Capital
  2. Golden Porsche
  3. I Know You Are But What Am I?
  4. Stop Coming To My House
  5. Sad DC

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